【注意点まで徹底比較!】無垢or複合フローリングの違いは?床材の選定基準をプロが解説!

新居建設やオフィス改築など、さまざまなシーンで「天然木を活用した床材」が選ばれることが多くなってきました。その中で、当社でも「無垢・複合フローリングって何が違うの?」というご質問をよくいただきます。
そこで本記事では、無垢・複合(合板)フローリングの違いから、それぞれのメリット/デメリットを詳しく解説していきます!施工前にこれらの違いを知っていただき、選択の幅を広げていただければ幸いです。
この記事でわかること
- 無垢と複合って何が違うの?
- 「挽き板」と「突板」って何?
- 無垢・複合フローリングのメリット/デメリット
- 結局、何を基準に選んだらいいですか?
この記事を書いた人

Kurumi
2021年入社 / 埼玉県出身 / “他社で断られたデザインを叶える”をモットーに「デザイン×コスト」を踏まえた最適な提案を得意とする。個人で動画制作を行うなどクリエイターとしての一面も。
無垢・複合フローリングの違いは?
まずは無垢・複合(合板)の違いから詳しく解説していきます。
無垢:100%天然木を使った床材
無垢フローリングとは、一本の木材から切り出した板をそのまま床材として使用するものを指します。
樹種ごとの色合いや木目がそのまま活かされ、天然木ならではの温もりや風合いが感じられるのが最大の魅力です。また、時間とともに日焼けや酸化による色の変化が現れ、暮らしの中で少しずつ味わいが深まる点も特徴です。
また1本の木から切り出した板を使うため、調湿作用を持ち、空気中の湿気を吸収・放出することで室内環境を整える働きもあります。
一方で、気温や湿度によって反りや割れが起きやすいという特徴もあり、施工やメンテナンスの知識が必要になります。
複合(合板):表面に「薄い天然木」を貼った床材
複合フローリングとは、合板などの基材の表面に、薄くスライスした天然木の突板や挽き板を貼り合わせて作られる床材です。
天然木の質感や美しい木目を楽しみながら、基材の安定性によって反りや割れが起こりにくいという特徴があります。湿度変化が大きい日本の住環境に適しており、床暖房対応や多様な表面仕上げが可能なのも大きな利点です。
一方で、表層材が薄いため、深い傷や削り直しによる再生には限度がある点には注意が必要です。
また複合板の「挽き板」と「突板」についても詳しく解説していきます!
挽き板:2mmほどの厚い天然木
挽き板フローリングとは、2mm前後の厚さにスライスした天然木を表面に貼り合わせた複合フローリングの一種です。
表面材が厚いため、無垢材に近い質感と風合いを楽しめるのが大きな特徴です。木目や色味は本物の木そのものであり、天然木特有の温かみも感じられます。
また無垢材に比べて反りや割れが起こりにくく、床暖房対応もしやすいのが特徴です!
突板:0.3〜1mmほどの薄い天然木
突板フローリングとは、0.3〜1mmほどにスライスした天然木の薄板を基材の合板に貼り合わせて作られた床材です。
表面は本物の木を使用しているため、無垢材のような自然の木目や質感を楽しむことができますが、安定性に優れ、反りや割れが起こりにくい点が特徴です。基材に合板を使用することで湿度による伸縮を抑え、こちらも床暖房にも対応しやすいといったメリットがあります。
また無垢材に比べてコストを抑えやすく、デザインのバリエーションも豊富です!
ただし表面の天然木部分は非常に薄いため、深い傷や削り込みの補修には限界がある点を覚えておきましょう。
無垢・複合のメリット/デメリット
それぞれの特徴が分かったところで、メリット/デメリットも詳しく紹介していきます。どちらを選ぶかの参考に活用してください。
無垢フローリングのメリット
天然木ならではの「質感」と「温もり」がある
無垢フローリングの最大の魅力は、自然そのままの風合いを楽しめる点にあります。
木目や色合いは一本ごとに異なり、人工的には再現できない多様な表情を見せてくれます。素足で歩いたときにもほんのり温かく、四季を通じて快適に過ごせるのは天然木(無垢)ならでは。
冬場はタイルや合板と比べて冷えにくく、夏場はさらりとした肌触りで心地よさを感じます。年月が経つごとに色味が深まり光沢が増す“経年変化”も、無垢材ならではの楽しみです!
木材の経年変化については、こちらの記事で詳しく解説しています!

無垢材の「経年変化」について|内装木材でも強度・腐敗の心配はない?
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「調湿作用」で快適な室内環境になる
木は生きていた頃の性質を保ち続けるため、周囲の湿度に応じて水分を吸収したり放出したりします。
この調湿作用によって、複合フローリングよりも室内の湿度をある程度整え、季節を問わず快適な住環境づくりが可能になります。
例えば梅雨時のジメジメした湿気を吸収し、乾燥した冬には水分を放出して過度な乾燥を防ぐなど、自然なバランスを保てるのが特徴です。
エアコンや加湿器に頼り切りにならずに、素材そのものが室内環境を支えてくれる点は、日常の暮らしに大きな安心感を与えます。健康や快適性を重視する住まいづくりには大きなメリットですね!
耐久性が高い
無垢材は一枚の木から作られているため、強度や耐久性に優れています。丁寧にメンテナンスを行えば数十年単位で使用でき、世代を超えて受け継がれることも少なくありません。
表面が傷ついた場合にはサンドペーパーで削って再仕上げすることができ、新品同様の美しさを取り戻せる点も魅力です!
複合フローリングと違い、木そのものの厚みがあるため補修の自由度が高く、暮らしの変化や家族の歴史とともに床が味わいを増し、使い続けられる安心感が“本物の素材”ならではの強みですね。
無垢フローリングのデメリット
反り・割れが起きやすい
無垢フローリングは一本の木材から切り出されているため、木が本来持つ性質を強く反映します。
特に湿度が高い季節には膨張し、乾燥する冬場には収縮することで反りや割れが発生することがあります。こうした寸法変化は天然木ならではの特徴であり、施工時に“適切な隙間をあける”など工夫が必要です。
また複合と比べての話にはなりますが、床暖房との相性が悪い場合があったりと、“木材(床材)の安定性”を重視する空間には不向きな点が、デメリットのひとつです。
施工やメンテナンスに手間がかかる
無垢材はシンプルな板に見えますが、扱いや施工には“技術”が必要です。
上でも紹介したように、湿度や気候に合わせた施工方法を取らないと、反りや割れなどの不具合が起きやすい特徴があります。
ただし「無垢材だから職人じゃないと扱えない」というわけではなく、あくまで複合フローリングと比較して“木材の性質が若干出やすい”程度に認識いただければOKで、注意しないとフローリングがダメになってしまう…、という心配はありませんのでご安心いただければと思います。
よくある質問:「無垢材の方が高い」は本当ですか?
結論、複合フローリングに比べると価格はやや高めではあります。
理由は、一本の木からそのまま切り出すため、原材料の歩留まりや調達コストが大きく、さらに乾燥工程や反り防止の加工など手間もかかるからです。
ただし必ずしも「無垢=高価」ではなく、流通量の多い樹種や幅の狭いタイプなどでは手に取りやすい価格帯の商品もありますので、使いたい木材によって“価格が違うこと”を知っておくことが大切になります。
複合フローリングのメリット
無垢よりも「反り・割れ」に強い(床暖との相性も◎)
複合フローリングは無垢と比べて、湿度や温度変化による伸縮や反りに強いため、床全体に安定した仕上がりを保てるのが大きなメリットです。日本のように梅雨や乾燥の時期がはっきりしている環境でも、施工後の隙間や割れが起きにくく、管理がしやすいです。
また上でも紹介したように「床暖房」にも対応しやすく、住宅環境に柔軟に合わせられる点で選ばれるケースが増えています。
施工性が良く、コストを抑えやすい
合板をベースにしているため、1枚1枚が軽く、施工効率が良いのも複合フローリングの強みです。そのため無垢材の価格に比べると材料費を抑えやすく、広い面積で使いたい場合にも予算を抑えることが可能です。
コストメリットと作業性を両立できるため、新築からリフォームまで幅広いシーンで採用されている床材です!
色柄や機能のバリエーションが豊富
無垢材は「天然木そのものの良さ」が必要になるため、塗装による保護加工以外はあまり推奨されていません。
一方で複合フローリングは、表面材(塗装仕上げ)の種類や着色塗装を変えることで、幅広いデザインと機能性を持たせられるのが強みです。
オークやウォールナットといった高級感のある木種の突板を使った製品から、傷や汚れに強い特殊シート貼りタイプまで、住まいのテイストや用途に応じて自由に選べます!
複合フローリングのデメリット
無垢のような「厚みのある肌触り」が少ない
複合フローリングは表面に天然木の突板を貼ることで木の雰囲気を演出しますが、厚みが少ないため、無垢材のような“重厚感”が出にくいです。
これは人の感覚になりますので文章で表現するのが難しいものですが…、木材の香り、サラサラ感はある程度あるものの、天然木ならではのズッシリとした重みや温かみは、無垢に比べてやや劣ってしまいます。
ただし表面の挽板は天然木を採用しているため「木の触り心地が全くなくなる」というわけではなく、あくまで無垢材とくらべて“若干劣る”程度で考えていただければOKです。
深い傷には弱い
複合フローリングの表面層は薄いため、無垢と比較して傷や摩耗にはやや弱いです。
たとえば無垢材なら研磨マシーンなどで削って綺麗に一新することができますが、複合材は表面が限られているため再研磨難しく、深く傷がついてしまった場合は、傷埋め補修などに限られてしまいます。
ただしこちらも相当深い傷に対するものであり、一般のご家庭をはじめ、商業施設やオフィスなど、「広い面積で木材フローリングを使いたい」という場合は、無垢フローリングの導入でも全く問題ありません。
フローリング選びでよくある質問
見た目や質感に大きな違いはありますか?
見た目の美しさという点では、どちらも天然木の風合いを楽しむことができますが、質感や経年変化の豊かさには違いがあります。
無垢フローリングは木そのものの肌触りや温もりがダイレクトに伝わりますし、安定した見た目を長く保ちたい人には複合フローリングを推奨しています。
無垢フローリングは「床鳴り」の心配があると聞きました…
無垢材の床鳴りは「自然な現象」として扱われることが多く、必ずしも施工不良や不具合ではありません。
無垢材は天然の木でできており、室内の湿度や温度の変化に応じて伸縮を繰り返すため、これが床鳴りの主な原因となっています。木材が「生きている証拠」とも言える状態であるため、ある程度の床鳴りは自然であり問題とは見なされません。
この辺りについては別記事で詳しく解説していますので、ぜひこちらもあわせてご覧ください!

床鳴り・色褪せは大丈夫?無垢フローリング(床材)のよくある疑問・心配に回答します!
無垢フローリングの温かい風合いに憧れるけど、「床鳴り」や「色褪せ」が心配…。そう思って導入をためらう方も少なくないと思います。 確かに天然木ならではの特徴によって、いくつかの注意点が存在します。しかし、正しい知識と対策を知っていれば、こうした悩みは解決できるだけでなく、無垢材ならではの「経年による
特徴ではなく「何を重視したいか」で選ぶのが大切!
本記事ではそれぞれ比較した場合のメリット/デメリットを大まかに解説しましたが、大前提、どちらも「天然木材」であることには変わりません。つまり多少の違いはあれど、傷への耐性や重さなどは、木材である以上、どちらも一定のリスクがあります。
そのため当社では、ただ木材を販売するだけでなく、
- その用途なら「無垢フローリング」がおすすめ
- このデザインにしたいなら「複合フローリング」がおすすめ
とお客様のご要望を伺った上で、その用途にあった最適なフローリング(床材)をご提案しています。
どちらがいいのかは実際に見て、聞いて、肌で感じてもらって初めてわかるもの。当社では実際の木材を手に取って確認いただける「無料サンプル請求」を実施していますので、まずはご希望の木材をお手に取って、色合いや質感をご確認いただければと思います。
導入時に迷うことがございましたら、ぜひお気軽にご相談ください。
この記事を書いた人

Kurumi
2021年入社 / 埼玉県出身 / “他社で断られたデザインを叶える”をモットーに「デザイン×コスト」を踏まえた最適な提案を得意とする。個人で動画制作を行うなどクリエイターとしての一面も。