フローリング傷は心配なし!キズやへこみの補修方法を木材プロが解説!

温かみのある木材フローリング、素敵ですよね。 新築やリフォームで「ぜひ取り入れたい」と思うものの、もし傷がついてしまったら…と、一歩踏み出せずにいませんか?
実はフローリング傷のほとんどは簡単に補修ができますので、過度に傷を心配する必要はありません。
そこで本記事では、フローリングの傷をどう判断し、どのような方法で補修するのか、具体的な方法まで解説します!
- フローリングは補修できるの?
- 「傷の種類」ってそこまで重要?
- 実際どうやって直せばいいの?
この記事を書いた人

Kurumi
2021年入社 / 埼玉県出身 / “他社で断られたデザインを叶える”をモットーに「デザイン×コスト」を踏まえた最適な提案を得意とする。個人で動画制作を行うなどクリエイターとしての一面も。
木材フローリングは補修が可能!
フローリングは毎日の生活でどうしても小さな傷やへこみがついてしまいますが、実は多くの場合、補修することが可能です。
詳しいやり方はこれからお話しますが、木材ならではの「湿気による伸縮性」を使って凹みを直したり、木材表面をほんの少しだけ削りとって直す方法があります。
“木材だから”と心配する必要なし!
当社でも「天然木フローリングって傷つきませんか?」と多くのご質問をいただきます。もちろん天然素材である以上、傷は付いてしまうのですが、その他の素材であっても当然、傷はつきます。
むしろ木材はそもそも表面塗装によって保護されていたり、木材の特性を活かした補修ができますので、導入にあたって過度に心配する必要はない、というのが当社の考えです。
ただし補修については「傷のタイプ」や「樹種」によって最適な方法がまったく異なりますので、知識なく思い切りで補修をはじめてしまうのは絶対にNG。
まずは本記事を通して、補修方法の順番を学んでいただければと思います。
木材フローリングの傷は大きく分けて「3種類」
まずフローリングを補修するためには「今ある傷がどのタイプなのか?」を知ることが大切です。フローリングの傷は、主に以下の3種類に分けられます。
①:軽いすり傷
フローリングにできる最も一般的な傷は、椅子やテーブルの移動、物の落下による表面のすり傷です。
これらは塗膜の上に浅く刻まれるため、木材自体には大きな影響を与えませんが、光の反射で目立ちやすく、美観を損ないます。放置すると汚れが入り込み黒ずむこともあります。
②:木材表面の打痕(へこみ)
家具を落としたりキャスター付きチェアを使ったりすると、フローリング表面が凹む「打痕(へこみ傷)」が生じます。この場合、木材表面の塗膜だけでなく木材そのものが押し潰されるため、擦り傷より修復が難しくなります。
ただし木材は繊維構造を持つため、水分と熱を加えることで膨張してへこみがある程度戻ります。(詳しい補修方法は後述します)
③:深く削れたえぐれ傷
重量物の移動や強い衝撃で起きるのが、木材層まで達する深い「えぐれ傷」です。
表面の塗装が剥がれ、木地が露出するため見た目のダメージが大きく、放置すると水や汚れを吸い込み劣化が進行します。
このタイプの傷は簡単な補修では隠しきれず、パテで穴を埋め、色合わせを行ったうえで再塗装する工程が必要です。DIYでは仕上がりが難しいため、広範囲や目立つ部分の場合には専門業者に依頼する必要があるケースも。
一般的にDIYで対応可能なのは「直径5mm、深さ1mm未満の傷」が目安とされています。
なぜそれ以上の傷は非推奨かというと、無理に自分で直そうとすることで、かえって傷を広げてしまう可能性があるからです。
また傷をそのまま放置してしまうと傷口から塗装の剥がれが広がり、床全体の劣化につながることもあります。
これから補修方法を詳しく解説しますが、無理に自分だけで直さないことも大切だということを覚えておきましょう。
補修方法は「木の硬さ」と「床のタイプ」で異なる
ここから具体的な補修方法を解説しますが、補修のやり方は、
- 木の硬さ:柔らかい or 硬い
- 床のタイプ:無垢 or 複合フローリング
によって異なります。それでは補修方法を見ていきましょう。
「木の硬さ」ごとの補修方法
柔らかい木の場合:「水+アイロン」で補修可能
柔らかい木材フローリングは、日常生活の中で家具の移動や物の落下によって小さなへこみや傷がつきやすいですが、その分補修もしやすいです。
軽いすり傷や凹みの場合は、木材が持つ調湿性を利用して「水分+熱」で傷ついた箇所を戻します。
①:まず表面をきれいに拭いてから、傷ができた箇所に水分を馴染ませます。ただし木材深部に浸透するくらい垂らすのはNG。あくまで上から掛ける程度でOK。
②:傷がある箇所にハンカチなど少し厚めの布をかけ、上からアイロンを数秒押し当てます。これで木材表面が膨らみ、傷がある程度目立たなくなります。
注意点として、アイロンを押し当てすぎるとその箇所が焦げてしまう可能性があります。そのため「数秒当てたら確認、もう数秒当てて確認」と、こまめにチェックしながら繰り返すようにしてください。
※深いえぐれ等の場合は修復不可なケースもあります。
補修可能なフローリング例
- パイン(マツ)
- スギ
- ヒノキ など
硬い木の場合:「補修材の塗り込み or パテ埋め」が必要
硬い木材のフローリングに傷が付いた場合、浅い擦り傷であれば市販のクレヨンタイプやマーカータイプの補修材をしっかり擦り込むことで、色をなじませるだけで傷は目立たなくできます。
やや深めの傷には、木工用の補修パテを使用してヘラで埋め込みながら表面を平らに整えます。その後、細かいサンドペーパーで軽く研磨すれば段差が消え、傷が目立たなくなります。
ただしサンドペーパー使用後は、ワックスやトップコートによる「仕上げ塗装」を必ず行うようにしてください。どんな木材であっても、天然木は原則「塗装仕上げ」が必要です。
補修によってその塗装が剥がれてしまった場合は、上からもう一度コーティングをし直さないと、余計に傷つきやすくなったり、部分的に木材が腐ってしまうことがあります。
「仕上げ塗装の重要性」についてはこちらの記事で紹介していますので、ご自身で進めてしまう前に一度ご覧ください。

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補修可能なフローリング例
- ナラ(オーク)
- チーク
- ウォールナット
- クリ
- ケヤキ など
「床のタイプ」ごとの補修
無垢フローリング:「研磨+塗装」で補修可能!
無垢フローリングは一枚板で構成されているため、傷やへこみがついても表面の削り直しや部分的な補修が可能です。浅い擦り傷であれば、サンドペーパーで木目に沿って軽く研磨し、表面をなめらかに整えます。その後、補修用のオイルやワックスを塗布すると、色味も馴染みやすく自然に仕上がります。
こちらも先ほど同様、研磨後には「仕上げ塗装」が必須になります。

▲フローリングメンテナンス「Bona」(画像:Bona公式YouTubeより)
無垢フローリングの場合、大規模リノベーションの際にも「表層を少しだけ削る」という方法を取ります。
これは無垢材ならではの利点で、後から紹介する複合フローリングはそもそも天然木の箇所(表面)が薄いため基本的に“削ること”はできません。
オフィスや商業施設など、修繕したいフローリングエリアが大きいケースでも、上のような研磨マシンを使用することで広範囲のメンテナンスができますので、傷を大きく懸念する必要はほとんどありません。
※当社でご購入の方はメンテナンス業者とお繋ぎすることが可能ですので、その点もご安心ください。
またへこみが気になる場合には、水で濡らした布を当ててアイロンをかけることで、木が膨らみ表面が元に戻ることもあります。ただし上でも紹介したように「無垢材の樹種」によって戻りやすさが異なりますので、木材によってはパテ埋めなどが必要になります。
傷ではありませんが、無垢フローリングの場合「床鳴り」に関するご質問もいただきますので回答します。
結論、床鳴りは「自然な現象」として扱われることが多く、必ずしも施工不良や不具合ではありません。
無垢材は天然の木でできており、室内の湿度や温度の変化に応じて伸縮を繰り返すため、これが床鳴りの主な原因となっています。木材が「生きている証拠」とも言える状態であるため、ある程度の床鳴りは自然であり問題とは見なされません。
この辺りについては別記事で詳しく解説していますので、ぜひこちらもあわせてご覧ください!

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複合フローリング:着色剤をなじませる
複合フローリングの傷補修は、表面材が薄いシートや突板であるため、無垢材のように削って均す方法ができません。
そのため表面の小さな擦り傷や軽いへこみであれば、専用の補修クレヨンやワックスを使って色をなじませる補修が基本となります。
深めの傷の場合には、補修用パテを埋め込み、周囲と色を合わせて仕上げることで目立ちにくくすることが可能です。また、シートの剥がれや欠けがある場合には、専用のリペアキットや部分的な貼り替えで対応するケースもあります。
フローリング傷に関するよくある質問
Q1. 小さな傷なら自分で直せますか?
A1. 軽い擦り傷なら、市販の補修マーカーやワックスを使うことで簡単に目立たなくできます。木目に合わせて色を選ぶと自然に仕上がります。
Q2. フローリングは「補修」より「張り替え」の方が良いですか?
A2. もし広範囲にわたる損傷や水による変形がある場合は、補修では対応しきれず張り替えが必要になることもあります。ただし無垢フローリングの場合は、研磨機などで表層を削るだけで補修できることもありますので「フローリングのタイプと、傷の状況による」となります。
Q3. 小さな子供やペットがいても、無垢フローリングは使えますか?
A3. はい、使用可能です。傷はつきやすいかもしれませんが、無垢材の持つ調湿作用や柔らかな足触りがありますし、ペットにとっても、滑りやすい化学床材より足腰への負担が少ないというメリットがあります。
傷がつきにくい硬めの樹種を選んだり、傷の補修がしやすいオイル仕上げを選んだりすることで、傷と上手に付き合っていくことは十分に可能です。
Q4. 補修した場所が不自然になりませんか?色選びのコツは?
A4. もしDIY補修するのであれば、傷を「完全に消す」ことよりも「目立たなくする」ことだと考えると良いです。
補修用のクレヨンやパテは、床の色そのものよりも「少し薄い色」から試すようにしてください。いきなり濃い色を乗せてしまうと修正が難しいですが、薄い色からであれば、少しずつ濃い色を混ぜて調整することができます。
フローリングは修復可能!
使いたい床材の“メンテナンス方法”を知ることが大切!
この記事では、木材フローリングの傷の補修について、木材のプロの知見を踏まえて解説しました。大切なのは傷の種類に加えて「木の硬さ」と「床のタイプ」という軸で考えることです。
この記事のポイント
- 補修の鍵は「木の硬さ」と「床のタイプ」を理解すること
- 柔らかい無垢材の凹み傷には、アイロンのスチームが効果的!
- 硬い木や複合材の深い傷は、パテで埋めるのが基本!
- 傷は「消す」ものだけでなく、共に暮らす中で「味」にもなる!
傷を完璧に無くすことよりも、木の特性を理解し、上手に付き合っていくことで、天然木フローリングを愉しむ暮らしにつながります。
当社は設計士・内装デザイナーをはじめ、お施主様の想いの詰まった設計図と真摯に向き合い、技術と豊富な樹種を活かしたアプローチで「どうやったら実現できるか?」を一緒に考えます。
木材のフローリングは傷つきそうで怖い…
この空間に木材を使って、誰がどうメンテナンスするんだろう…
「できない」から逃げない、オネスト・アンド・パートナーズの木材提案力で、お客様にとって最適な天然木フローリングをご提案いたします。
この記事を書いた人

Kurumi
2021年入社 / 埼玉県出身 / “他社で断られたデザインを叶える”をモットーに「デザイン×コスト」を踏まえた最適な提案を得意とする。個人で動画制作を行うなどクリエイターとしての一面も。