店舗フローリング、無垢と複合どっちが正解?「耐久性」の観点で床材の選び方を木材商社が解説!
設計士・デザイナーの方からよく「無垢と複合、店舗の内装にはどっちを使えばいいの…?」とご質問いただきます。
これについては「案件タイプによって“正解が変わります”」というのが結論で、たとえば経年変化を「味」にしたいなら無垢、短期リニューアル前提のテナントなら複合など、一概に「どちらがおすすめか」とは言いきれません。
本記事では、大手カフェチェーン店や高級カーディーラー店舗など、多くの商業施設に天然木フローリングを納入してきた当社の知見をもとに「あなたの案件にはどちらの方が最適か?」をタイプ別に整理します!
- 商業施設で求められる「5つの耐久性」の整理
- 無垢フローリングを選ぶべき案件タイプと理由
- 複合フローリングを選ぶべき案件タイプと理由
- 無垢を選んだ場合のおすすめ樹種(気乾比重の目安つき)
- 複合を選んだ場合の表面仕上げの選び方
この記事を書いた人
Kurumi
2021年入社 / 埼玉県出身 / “他社で断られたデザインを叶える”をモットーに「デザイン×コスト」を踏まえた最適な提案を得意とする。個人で動画制作を行うなどクリエイターとしての一面も。
そもそも:店舗フローリングに求められる「耐久性」とは?
無垢と複合、どっちが向いているかを判断する前に、まず「店舗で求められる耐久性とは何か」を整理しておきましょう。個人住宅とは“求められる機能”が全く違います。
【前提知識】店舗の床には「住宅の10倍以上」の負荷がかかる
商業施設の床は、住宅とは比べものにならない負荷がかかります。
たとえば、大型ショッピングモールでは1日に数万人が歩きます。都心の百貨店では年間7,000万人、1日あたり約19万人もの来客があるケースも。一般的な大型店でも年間1,000万人程度、つまり1日2.6万人以上が歩いているのです。
住宅の場合、床の上を歩くのは家族だけ。しかも素足での生活が基本ですよね。
一方、商業施設では不特定多数がハイヒールや硬い靴底で歩き、什器や陳列棚の移動があり、キャスター付き椅子や台車が走行します。靴底についた砂利で床面が擦れるのも日常茶飯事。
住宅の10倍、立地や業態によっては100倍もの負荷がかかることもあります。
だからこそ、住宅向けの情報を“そのまま店舗設計に適用する”のは適切ではありません。
フローリング選定で見るべき「5つの耐久性」
「耐久性」と一口に言っても、商業施設では複数の観点があります。以下の5つを押さえておくと、床材選びの判断軸が明確になります。
| 観点 | 意味 | 何に対する強さか |
| 摩耗への強さ | 歩行による表面の削れにくさ | 不特定多数の人通り |
| 傷への強さ | 点荷重による傷・へこみの付きにくさ | ハイヒール、什器の脚、落下物 |
| 転がり摩耗への強さ | キャスターや台車による傷つきにくさ | オフィスチェア、陳列棚の移動 |
| 経年変化の見え方 | 時間経過での見た目の変化 | 「味わい」になるか「劣化」に見えるか |
| 補修・メンテナンス性 | 傷がついた際の直しやすさ | 長期運用でのコスト・手間 |
この5つの観点を踏まえた上で、「無垢向きの案件」「複合向きの案件」を次から整理していきます。
「無垢フローリング」が合う案件タイプは?
以下のような案件では、無垢フローリングがおすすめです。
1. カフェ・飲食店
カフェや飲食店では、「木の温もり」「おしゃれさ」が店舗の雰囲気に直結します。
そして無垢フローリングの最大の強みは、時間とともに「味わい」が増すこと。
専門家は無垢フローリングの経年変化を「劣化ではなく美化」と評価します。使い込むほど木の色合いが飴色に深みを増し、表面の傷も馴染んで独特の風合いになるのです。古い民家の床が美しく見えるのはその典型的な例です。
実際、無垢床はあえて経年変化の味わいを楽しむ内装として、カフェやレストランで採用されています。当社でも某有名コーヒーチェーン店など、数多くの飲食店に納入実績があります。
「古くなってもカッコいい」空間を作るなら、無垢フローリングがおすすめ。オーク(ナラ)やチークなど硬い樹種を選べば、傷にも強く、経年変化も楽しめます。
2. 高級ホテル・カーディーラーなど
ホテルやカーディーラーなどの特別な空間を演出する内装では「高級感」が命。
そして経年変化が美しい無垢材は、年月を経ても魅力を保ち続けます。
無垢にも複合にも言えることですが、天然木を使用した床材は「古くなっても味わいが増す」という特性を持っています。この違いは、高級ホテルの風格を保つ上で大きなアドバンテージになります。
実際に、京都のあるホテルではエレベーターホールに無垢材フローリングを採用した事例もあります。無垢材の暖かみや風合いが空間のコンセプトに合致する場合、経年変化も含めた価値が認められ選ばれているのです。
樹種としては、オークやウォールナット、チークがおすすめ。客室とロビー・廊下で樹種やグレードを使い分けることも可能ですので、ぜひご相談ください。
3. “削り直し”前提で長期間使用するケース
「10年、20年と長期で運用する」なら、無垢のメリットが最大限に活きます。
無垢フローリングは、傷がついても削り直し(サンディング)で修復可能という大きな強みがあります。一般的な厚さ15〜18mmの無垢材なら、2〜3回程度のサンディングが可能。
既存の床を活かせるため、全面張り変えよりもコストを抑えて施工できるのが大きなメリットです。
一方、複合フローリングは表面の挽板が2mm〜4mm程度のため、基本的に研磨再生はできません。深い傷や劣化時には張替えが必要になります。
当社でも“長期採用”を前提とした物販店舗に木材を納入しています。人通りが多いショッピングセンターや物販店では、オーク、チーク、メープルといった硬い樹種を選ぶのがポイントです。
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「複合フローリング」が合う案件タイプは?
以下のような案件では複合フローリングがおすすめです。
1. 「常に美観を保つ」ことが求められる店舗
無垢の経年変化を「味わい」ではなく「汚れ・劣化」と捉えるコンセプトの店舗(例:清潔感が最優先されるクリニックや、常にモダンな光沢を求めるブティックなど)では、高耐久コーティングを施した複合材が向いています。
例えばUV塗装(紫外線硬化型塗装)を施した複合フローリングは、非常に高い表面硬度と耐擦傷性を発揮します。ワックス不要でメンテナンス性に優れ、耐久年数も長いのが特徴です。
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2. メンテナンスに手間をかけられない店舗
無垢フローリングは素材の風合いを楽しめる一方で、『定期的なメンテナンス』を前提とした床材でもあります。
オイル仕上げの無垢床は、定期的なオイルの塗り込みが必要となり、人の出入りが激しい店舗では、半年に1回のメンテナンスが推奨されることもあります。
一方で「日常清掃以外に手間をかけられない」といった店舗では、工場出荷時にUV塗装が施されたフローリングが最適です!
【お客様への説明】おすすめの伝え方
複合フローリングは無垢床と比べて、温度や湿度の影響を受けにくく、店舗利用でも安定した状態を保ちやすい床材です。
店舗を開業されるにあたって、少しでも「納得感のある素材を選びたい」と考えられるのは自然なことですよね。そうした特徴を踏まえた上で、
『複合フローリングは、選択肢として相性が良さそうですね』
といった形でお伝えすると、より納得感を持っていただきやすくなります。
またお客様から、
『そもそも木材って、なぜ価格に差があるんですか?』とご質問をいただくこともあります。
下記の記事では、天然木フローリングの価格差が生まれる理由について詳しくまとめていますので、ご興味があればあわせてご覧ください。
設計士・デザイナーの方からよく「無垢と複合、店舗の内装にはどっちを使えばいいの…?」とご質問いただきます。
これについては「案件タイプによって“正解が変わります”」というのが結論で、たとえば経年変化を「味」にしたいなら無垢、短期リニューアル前提のテナントなら複合など、一概に「どちらがおすすめか」と
店舗フローリング、無垢と複合どっちが正解?「耐久性」の観点で床材の選び方を木材商社が解説!
当社の複合フローリングは、デザイン性の高い「天然木挽板」を採用!

複合フローリングは、無垢フローリングの代替品ではなく、意匠性も含めて設計された床材です。表面に使用される天然木の種類や塗装の仕上げによって空間の印象は大きく変わります。
当社の複合フローリングは世界中から厳選した天然木を贅沢に貼り合わせるため、まるで無垢床のような仕上がりを複合フローリングで実現いたします。
導入前に実際の製品サンプルをお手に取っていただくことも可能ですので、ぜひ一度無料サンプル請求でその質感を体感ください。ぜひお客様にもご共有いただき商談材料としてご活用いただければ幸いです。
無垢床に決めたら「樹種」はどうする?
無垢フローリングを採用することに決めたら、次は「どの樹種を選ぶか」です。
商業施設では「硬い樹種」を選ぶのが基本。その判断基準「気乾比重」と、おすすめの樹種を解説します!
【前提知識】硬さの指標「気乾比重」について
樹種を選ぶ際にぜひ押さえておきたいのが「気乾比重(きかんひじゅう)」という指標です。
気乾比重とは、木材の密度を表す数値。簡単に言えば、気乾比重が高いほど硬く、傷やへこみに強いと覚えておけばOKです。
詳しくはこちらの記事で紹介していますので、ぜひ一度ご覧いただければと思います。
木材強度・硬さは「気乾比重」で分かる!内装材の選定ポイントも踏まえて解説!
気乾比重とは 気乾比重(きかんひじゅう)とは、木材の重さを表す指標の一つで、気乾状態(きかんじょうたい)の無垢材と、同じ体積の水の重さと比較して求める値です。 具体的には、1立方センチメートル(㎤)の水の重さを1グラムとしたとき、乾燥した木材1㎤の重さが何グラムかを比率で表します。 気
人通りが多い店舗には「ナラ」が最適

人通りが多いショッピングモール内の店舗などでは、床への負担が大きくなりやすいため、比較的硬さのある樹種を選ぶことをおすすめします。
ナラ(オーク)は、店舗床材として定番の樹種のひとつです。
気乾比重は0.68前後と比較的重硬で、耐久性に優れている点が特徴です。はっきりとした木目が、空間に温かみと力強さを与えてくれます。
カフェやアパレルショップなど、さまざまな業態の店舗で採用されるケースがあります。
当社製品についても、同様の用途でご検討・採用いただくことが多い樹種です。
当社製品の導入事例(採用フローリング:ナラ150幅CD)



▲au style SENDAI/BLUE LEAF CAFE
ナラを用いたモダンで落ち着いた「大人の空間」を思わせる内装をナラ材で実現。床には150幅のワイドな無垢板を採用することで、スペースの広さを床から感じさせる内装デザイン事例です。
天井や壁には、同じく当社ナラの不燃突板を採用することで、飲食店で求められる『内装制限』に対応した仕様となっています。
照明によるライトアップは、敢えて少なめにすることでナラ特有の「虎斑(木材の模様)」も引き立つおしゃれな空間に仕上がっています。
デザイン:Degins JP Inc.
施工会社:株式会社乃村工藝社
著作権:©矢野紀行写真事務所


同じナラ150幅CD材を採用したデザイン事例。明るめの塗装を施すことで、同じナラ材でありながらも北欧風のカフェスタイル内装に。
木材はふんだんに使うのではなく、あくまで床やインテリアなどの“部分的な採用”にとどめ、コンクリートを基調とした建材を活用することで、木材の持つおしゃれさ・ナチュラルさがより引き立つデザインになっています。
この木材をあえてワンポイントに抑える『引き算』の考え方も、天然木を採用したおしゃれな内装デザイン設計では非常に重要になります。
木材を活用した内装デザインの『足し算・引き算』の考え方は、こちらの記事で詳しく解説しています。
【設計士必見!】店舗フローリングはこう選ぶ!デザイン事例で見る無垢床向け樹種をプロが紹介!
商業施設や小売店、カフェ、オフィスから個人宅まで。 設計士・内装デザイナーの方であれば、常にクライアントからの『とびきりおしゃれな内装で!』を叶えるため、日々頭を悩ませているのではないでしょうか。 たとえ同じような施設であっても「モダンにしたい」「爽やかにしたい」など、クライアントの数だけ要望が
デザイン・施工:株式会社デコール



無垢床とインテリアのカラーイメージを合わせることで、内装全体に統一感が出ている事例。
床やテーブルには木材を取り入れつつ、大きなガラス窓や、テラス部分にはタイルを採用することで有機素材+無機素材のコントラストを演出。この『足し算』の考え方も、木材のおしゃれさを引き立たせるには不可欠になります。
施工会社:株式会社ムラヤマ
著作権:©矢野紀行写真事務所
雰囲気重視の店舗にはウォールナット・チーク
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床材選びでは硬さだけでなく、色合いや風合いを重視したい場合はウォールナットやチークを推奨。
ウォールナットは深いチョコレートブラウンの色味が特徴の高級木材。使い込むほど明るさと艶が増し、上品さを感じさせる経年変化を楽しめます。高級ブティックやホテルのラウンジで好まれる「色気のある木材」です。
一方でチークは、耐久性と意匠性を両立した万能な木材。独特の風合いと経年変化でカフェに人気があり、バーカウンターや高級ホテルの床・壁にも採用されています。
当社製品の導入事例(採用フローリング:インドネシアチーク・ウォールナット)


当社無垢フローリング(チークヘリンボーン)・複合フローリング(床暖ウォールナット)を採用したオフィス事例。
2枚目のようにヘリンボーン(ハの字型)で貼り合わせることで、チークならではの色ムラをあえて「おしゃれな濃淡」として演出しています。
また当社の複合フローリングはすべて、天然木の挽板を貼り合わせて製作しているため、無垢に引けを取らないデザインを複合で実現しています。
当社フローリングの特徴については、こちらのページをぜひご覧ください。
複合は樹種だけでなく「表面仕上げ」も重要!
複合フローリングを採用する場合、無垢のように「樹種」だけで選ぶのではなく、「表面仕上げ(コーティング)」に着目することも大切です。というのも複合フローリングは、合板などの基材の上に天然木の挽板(2mm〜4mm程度)を貼り合わせた構造になっています。
つまり、無垢材と比較して表面の天然木部分が薄いため、耐久性を左右するのは「樹種」もそうですが「表面のコーティング(仕上げ塗装)」も重要なのです。
フローリングの塗装方法についてはこちらの記事で詳しく解説していますので、ご興味があればぜひこちらもご覧ください。
“無塗装”は原則NG!内装木材の仕上げ塗装・デザイン塗装の役割を徹底解説
「オイル仕上げとウレタンって何が違うの?」「UV塗装って聞くけど、結局何が良いの?」など内装設計で木材を使う際、仕上げ塗装に関する用語を耳にするタイミングがあるかと思いますが…、実際にこれらの違いをクライアントにうまく説明できる内装デザイナー様は少ない気がしてます。 そこで本記事では、設計士・内装
“天然木ならでは”の機能性を、最大限に活かしたデザインを。

フローリングは『空間体験そのもの』を左右する要素のひとつです。内装を一層おしゃれに仕立てる天然木フローリング。木材はデザインだけでなく、調湿性や強度、肌触りなど合成素材にはない魅力がたくさん詰まっています。
木材の“ほんの僅かな違い”を知って、納得いただいてから導入いただきたいと考えています。
当社ではご注文前にフローリング商品の「無料サンプル」もご請求いただけますので、樹種選びのご相談から無料サンプル(5点まで)のお取り寄せまで、ぜひお気軽にお問い合わせください。
法人向けの取引中心のため、個人・施主様はデザイン事務所や工務店を通してサンプル依頼をお願いいたします。
当社の提供する天然木フローリングの特徴については、ぜひこちらのページもあわせてご覧ください。
この記事を書いた人
Kurumi
2021年入社 / 埼玉県出身 / “他社で断られたデザインを叶える”をモットーに「デザイン×コスト」を踏まえた最適な提案を得意とする。個人で動画制作を行うなどクリエイターとしての一面も。

