無垢材の「経年変化」について|内装木材でも強度・腐敗の心配はない?

木材の経年変化とは、木材が環境によって風化することで、見栄えや特徴が変化することです。
どんな木材でも経年変化は起こるものですから、とくに内装に木材を採用する場合は「経年変化が発生するワケ」や「変化の度合い」も知っておく必要があります。
そこで本記事では木材の経年変化について、
- そもそもなぜ起こるのか
- 劣化との違いは何か
- 「防ぐ or 早める」ことはできるのか
など当社でもよくいただく質問に対して、内装木材の専門家が詳しく解説していきます!
- そもそも「経年変化」と「経年劣化」って別物?
- 木材が経年変化する要因は?
- 樹種ごとの「変化後の色合い」
- 木材って内装制限(防火基準)があっても採用できるの?
大前提:経年変化・劣化の違い
当社では木材の「経年変化」と「経年劣化」は別物と定義しています。
同じような意味合いで使われることもありますが、初めにこれらの違いから解説していきます。
経年変化:「風合いが変わる」こと
木材における経年変化は、色味や肌触りが施工当初と変わるといった「風合いの変化」を指します。“味が出る”と表現することもありますね。
変化の好みは人それぞれですが、基本的には天然木の味わいの変化のことを経年変化と言います。
経年劣化:「機能性が落ちる」こと
経年劣化は木材そもそもの“品質・性能が低下すること”です。外装建材などは日光や雨風で傷みやすいため「寿命」や「耐用年数」とも表現されます。
内装木材でいえば床がギシギシ鳴る、壁が浮く、木が柔らかくなるなど、木材本来の機能性が失われていく過程が「経年劣化」です。
もちろん変化も劣化も時間経過によって進んでいきますが「起こる要因」が少し異なります。詳しく見ていきましょう。
経年変化の原因
原因1:化学物質の酸化
天然木が経年変化を起こす最大の要因は「酸化」です。
木材に含まれるポリフェノール(タンニンやフラボノイド)は、酸化することで渋みのある色合いへと変化していきます。
特にタンニンはお茶や柿、ワインなどにも含まれる「渋み成分」のひとつで、このタンニンが多く含まれる樹種ほど、時間経過とともに美しい琥珀色へと変化していきます。
例:ナラ材など
ナラ材の経年変化の様子についてはこちらの記事で解説しています!

ナラ材の特徴は?経年変化や内装材の活用アイデアをご紹介!
そもそも「ナラ材」とは? ナラはブナ科コナラ属の落葉広葉樹で、日本や中国、ロシアなどが主な原産国です。 また日本(特に北海道産)のナラは、その高い耐久性と耐水性から「ジャパニーズオーク」とも呼ばれ、世界に誇る銘木にもなっているのです。 また写真のように、ナラには「虎斑(とらふ)」と呼ばれる美し
原因2:紫外線によるリグニンの分解
2つ目の要因は紫外線です。
木材の細胞内には「リグニン」という細胞を強固にする成分が入っており、これにより木材は細胞構造を保っています。
しかしリグニンは紫外線を吸収することで性質が変化するため、紫外線にあたるほど色の変化も起こりやすくなります。(日焼けのようなイメージ)
また長期間紫外線に当たり続けると、色合いだけでなく木材の耐久性も低下しますので、常に日光が当たり続ける部分に木材を採用する場合は、レイアウトにもよりますがウォールナットなどの強度が高い樹種を選ぶといいでしょう。

内装の定番!ウォールナットの特徴やメリット・デメリットとは?
「ウォールナット」ってどんな木材? ウォールナットは、クルミ科クルミ属の落葉広葉樹で、最高品質のウォールナットは「アメリカンブラックウォールナット」とも呼ばれています。主にアメリカ東部から中部の標高の高い山々に自生しており、厳しい寒さの中でゆっくりと成長していきます。そのため、硬く粘りのある材質を
Point:経年変化は必ず起こる
どんな木材でも経年変化は必ず起こります。
もちろん成分の違いによって「起こりやすい or 起こりにくい」はありますが、時間が経つほどに風合いが増していくのが“木材の良さ”です。
ここからは樹種ごとに、どんな色合いに変化していくのかをご紹介します。
【樹種別】経年変化による色味の違い
樹種 |
色合いの変化 |
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明るい褐色 → 琥珀色 (淡→濃) |
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明るい淡白色 (ほぼ変化しない) |
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明るい褐色 → 濃い褐色 (淡→濃) |
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焦げ茶→ 明るい茶色 (濃→淡) |
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明るい茶色 → 濃い飴色 (淡→濃) |
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淡黄色 → やや濃い色へ (淡→濃) |
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淡黄色 → 飴色 (淡→濃) |
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明るい茶色 → 深みのある茶色 (淡→濃) |
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明るい黄褐色 → 深みのある褐色 (淡→濃) |
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白っぽい淡色 → 黄色 (淡→濃) |
内装制限がある中で“天然木材”を使うには
そもそも商業施設などの多くの人が利用する公共空間や、店舗の共用部では、建築基準法によって内装制限が設けられている場所では、原則として可燃性の材料である木材をそのまま壁・天井に使用することができません。
これは火災時の延焼を防ぎ、避難経路を確保するためです。
しかしそういった内装であっても「木の温もりを取り入れたい」「ナチュラルなデザインを実現したい」という設計士・デザイナーのこだわりは多いと思います。実際に当社でもこれまでたくさんの声を聞いてきました。
なぜ木材が使えない場所があるのか
建築基準法では、建物の用途や規模、高さなどによって、内装に使用できる材料に制限を設けています。(内装制限)
特に、火災発生時に避難に時間がかかる可能性のある空間や、火災が拡大しやすい構造の建物では、壁や天井の仕上げ材に「不燃材料」「準不燃材料」「難燃材料」といった、燃えにくい、あるいは燃えても煙や有毒ガスを発生しにくい材料を使用することが義務付けられています。
残念ながら天然木材のままでは、上記の認定材料には該当しないため、内装制限のかかる空間では使用範囲が限られてしまうのです。
当社の不燃突板は、
「天然木の風合い」そのままに“不燃”を実現!
当社の不燃突板(ナチュラルボード)は、火山性ガラス質複層板に天然木突板を練付した「内装用不燃ボード」です。およそ0.2mmの天然木を貼り合わせることで、木材本来の「美しさ・肌触り」をそのまま残した不燃内装材を実現しました。
物販店・飲食店の壁をはじめ、キッチン天井やカウンターなどの“内装制限がある箇所”にも採用いただけます。
雰囲気に合ったおしゃれな内装木材はもちろん、木材ならではのデメリットも最大限に抑えた内装材をご提供していますので、ぜひ一度ご相談ください!
当社の手がける「不燃突板」については、こちのページをご覧ください。
関連ページ:『当社の不燃突板について|株式会社オネスト・アンド・パートナーズ』