チーク材の特徴は?店舗・オフィスのレイアウトデザインまで解説!

木材の中でも特に「高級感」と「耐久性」が高いとして知られるチーク材。古くから家具や船舶、建築材として愛用され、その美しい木目と深い色合いが多くの人々を魅了しています。
そこで本記事ではそんなチーク材の特徴や魅力、内装材としての活用方法まで詳しくご紹介していきます!
- チーク材が「最高級」と言われる理由は?
- チーク材のメリット・デメリットは?
- 他の人気木材(オーク、ウォールナット)との違いは?
- 予算や用途に合わせた賢い選び方のポイント!
この記事を書いた人

Kurumi
2021年入社 / 埼玉県出身 / “他社で断られたデザインを叶える”をモットーに「デザイン×コスト」を踏まえた最適な提案を得意とする。個人で動画制作を行うなどクリエイターとしての一面も。
チーク材とは?世界三大銘木に数えられる最高級木材
まずはチーク材の基本からおさらいしましょう。
チークはシソ科チーク属の落葉広葉樹で、日本では「柚木(ユズキ)」という和名でも知られています。ミャンマーやインドネシア、タイといった東南アジアを主な原産地としており、落ち着いた黄金褐色でまっすぐに通った木目が特徴の木材です。
古くから高級家具や建築、さらには船舶の材料として世界中で利用されてきました。
「世界三大銘木」とは?
チーク、ウォールナット、マホガニー。これらの木材は「世界三大銘木」と呼ばれており、単に見た目が美しいだけでなく、寸法安定性や加工性、耐久性にも優れ、古くから高級家具や内装材として利用されてきた歴史的な価値が評価されている木材です。
例えば、マホガニーはヨーロッパの宮殿家具に使われた歴史を持ち、ウォールナットは美しい木目から高級車のウッドパネルにも採用されてきました。
チーク材の主な産地と種類
一言でチーク材といっても、産地によって品質や特徴に違いがあります。
ミャンマーチーク(天然木)
樹齢100年以上の天然林から伐採される最高級品で、「本チーク」とも呼ばれています。
厳しい環境でゆっくり育つため木目が細かく詰まっています。また、油分を豊富に含んでいるため、深みのある飴色へと経年変化するのも魅力です。現在、天然のチーク材を合法的に伐採・輸出できるのはミャンマーのみであり、その希少性から価格も高騰しています。
インドネシアチーク(植林木)
インドネシアのジャワ島などで計画的に植林されたチーク材です。
樹齢が比較的若いうちに伐採されるため、ミャンマー産に比べて木目がやや大きく、色合いも明るい黄褐色をしています。油分の含有量も天然木には劣りますが、品質管理された良材が安定的に供給されており、現在日本で流通するチーク材の多くがこの植林チークです。
「最高品質を求めるならミャンマー産の天然チーク!」とも言われますが、インドネシア産の植林材でもチーク材ならではの風格を十分に楽しむことができます。
チーク材が“高級材”とされる理由
ここからはチーク材が高級な内装材として扱われている理由をプロの視点から5つ解説していきます!
1:水に強く、腐りにくいから
チーク材が持つ最大の特徴は非常に優れた耐水性です。
その秘密はチーク自身が内部に豊富に含んでいる天然の油分。この油分が木材の表面をコーティングするように保護し、水分を弾いて浸透しにくくさせます。この特性から、かつては豪華客船や軍艦の甲板にもチーク材が使われてきました。
キッチンカウンターや洗面所、さらには浴室の床など、本来であれば“木材の使用をためらうような水回り”にもよく採用されています。
「そもそも水に強い木材ってあるの?」という疑問については、下記記事で詳しく回答しています!

水に強い木材とは?原理から木材を採用した内装デザイン事例を解説!
「木材は水に弱い」というのが一般常識ですが、実は樹種によって水への耐性、つまり「耐水性」が違うことをご存じでしょうか?例えば日本のお風呂場によくヒノキが使われているなど、水分にある程度の耐性がある樹種もいくつか存在しています。 そこで本記事では「そもそも木材がなぜ水に弱いのか?」をはじめ、具体的に
2:硬くて丈夫・傷つきにくい
チーク材は、木材の密度を示す「気乾比重」が約0.6〜0.7と高い数値で、硬くて丈夫な木材としても知られています。
日本の住宅でよく使われるスギ(気乾比重:約0.38)と比較すると、約1.8倍も密度が高いことになります。密度が高いということは、それだけ組織が密で頑丈だということです。
そのため、テーブルやフローリングとして使用しても、食器を落としたり椅子を引いたりといった日常的な衝撃で簡単にはへこみません。土足を想定している店舗やオフィスの床材でも、傷を気にしすぎることなく使うことができます。
【参考】樹種ごとの気乾比重の比較(平均値)
樹種 | 密度(気乾比重) |
---|---|
チーク | 約0.57~0.69 |
ナラ | 約0.67 |
ウォールナット | 約0.64 |
ヒノキ | 約0.41 |
スギ | 約0.38 |

木材強度・硬さは「気乾比重」で分かる!内装材の選定ポイントも踏まえて解説!
気乾比重とは 気乾比重(きかんひじゅう)とは、木材の重さを表す指標の一つで、気乾状態(きかんじょうたい)の無垢材と、同じ体積の水の重さと比較して求める値です。 具体的には、1立方センチメートル(㎤)の水の重さを1グラムとしたとき、乾燥した木材1㎤の重さが何グラムかを比率で表します。 気
3:美しい経年変化を楽しめる
そして先述の通り、チーク材は使い込むほどにその美しさを増していきます。
新品のチーク材は明るい黄金褐色をしていますが、日光や空気に触れることで、表面の油分が酸化し、深みのある飴色へと変化していきます。
天然材ならではの色ムラや木目の表情が徐々に均一に落ち着き、しっとりとした艶を帯びていく様子は、革製品を育てていくような楽しみがあります。アンティークの北欧家具にチーク材が多く使われているのも、この経年変化が高く評価されているからです。
経年変化については以下記事で詳しく解説しています!

無垢材の「経年変化」について|内装木材でも強度・腐敗の心配はない?
木材の経年変化とは、木材が環境によって風化することで、見栄えや特徴が変化することです。 どんな木材でも経年変化は起こるものですから、とくに内装に木材を採用する場合は「経年変化が発生するワケ」や「変化の度合い」も知っておく必要があります。 そこで本記事では木材の経年変化について、 そもそも
4:虫に強い・防虫効果が高い
チークは防虫性も高く「シロアリなどの害虫を寄せ付けにくい」という利点があります。
これはチークの油分に含まれる「テクトキノン」という成分に、天然の防虫・防腐効果があるからです。特にミャンマーチークにはこの成分が多く含まれており、特別な薬剤処理を施していない無垢材であっても、高い防虫効果を発揮します。
5:寸法が安定していて、反りや狂いが少ない
無垢材と聞くと「反ったり割れてしまったりするのでは?」と心配される方もいるかもしれませんが、チーク材は湿度や温度の変化による伸縮が非常に少ないため、施工後に材が大きく動いて反ったり、割れたりするリスクが低い樹種です。
当社では、無垢単板を使用した床暖房対応の複合フローリングも取り扱っております。複合フローリングは、無垢フローリングと比較すると湿度や温度による反りや伸縮が少なく安定性があります。
また、当社の複合フローリングは表面に天然木の無垢単板を使用しているため、無垢フローリングと比較しても遜色のないチークそのものの美しさを楽しめます。
当社は複合フローリング「床暖チーク」もご用意!
当社ではチークの高級感を最大限に活かした床暖房対応・複合フローリングのチーク材もご用意しています。 また当社の床暖房対応商品は、床表面温度が25~28℃程度の低温式床暖房に対応しておりますので「そもそもこの床暖仕様にも対応しているか?」というご不安がございましたら、ぜひお気軽にご相談ください。
チーク材のデメリットは?購入前に知っておくべき注意点
とはいえ購入前に知っておくべきデメリットもあります。ここからはチーク材の注意点を解説していきます。
デメリット1:価格が高い
チーク材を選ぶ上で大きなハードルとなるのが「価格」です。
一般的なフローリング材と比較すると、人気樹種であるオーク材の1.5倍から2倍以上の価格になることもあります。特にミャンマー産の天然チークは政府によって厳しく管理され、市場に出回る量が非常に少なくなっていますし、チーク自体の成長にも長い年月が必要で伐期が長いというのも、コストを押し上げる要因となっているわけです。
デメリット2:定期的なメンテナンスが必要
チーク材はとても丈夫な樹種ですが、美しさを長く保つためには定期的な拭き取りメンテナンスが必須です。
とはいえ基本的には乾いた布でホコリを拭き取るだけで十分です。汚れが付いた場合も、チークは水に強いので、固く絞った布で拭き取ることができます。オイル仕上げの無垢材の場合は、年に1〜2回程度、専用のオイルを塗り重ねることで、乾燥によるささくれを防ぎ、しっとりとした艶を保つことができます!
チークとよく似た「オーク・ウォールナット」との棲み分け
チーク材の魅力がわかってきたところで、ここからは「オーク」と「ウォールナット」と比較したときの違いを解説します!
開放的な空間にしたいなら「オーク」
明るく開放的な空間にしたいなら「オーク」がおすすめです。
オーク材は明るい色合いと美しい木目が特徴で、ナチュラルで温かみのある雰囲気を簡単に演出できます。木目は波状の模様や優しい直線、虎斑(とらふ)という独特の模様もあり、個性豊かなインテリアづくりが可能です!
またチーク同様に耐久性が非常に高く、重厚感もあります。
さらにオークは加工しやすく、どんなスタイルの家具にもよく合うため、リビングやダイニングなど明るく開放的にしたいスペースにぴったりの木材となっています。チークやウォールナットよりも明るい色調なので、空間が広く感じられるのもポイントです。
高級感を求めるなら「ウォールナット」
シックで重厚な高級感を求めるなら「ウォールナット」がおすすめです。
ウォールナット材は深みのある濃い茶色が特徴で、その落ち着いた色合いが上品で高級感あふれる空間をつくり出します。独特の木目はシンプルながらも存在感があり、一つひとつの木目が個性的なため、使うたびに味わいが深まります。
またウォールナットも耐久性も高く、傷や変色に強いため、美しい状態を長く保てます。シックなリビングや書斎、重厚感のあるダイニングテーブルなど、落ち着いた空間づくりにぴったりの木材です!
反り・腐り・水気にも強い「チーク」
本記事でも紹介していますが、チーク材は天然油分を豊富に含んでいて、この油分が水や虫、菌から木材を守る防護層として働くため、そもそも腐りにくく耐久性が非常に高いです。
また密度が高く硬いため、反りや割れに強く、強い力にも変形しにくい特徴もあります。
さらに経年変化により木の色合いが深く飴色に変わっていくため、使い込むほど味わいが増すのも魅力です!
内装でチーク材を使うなら?
1. 「防水性」が必要な箇所 (例:キッチンカウンターなど)
まず挙げられるのが「水分が付着する恐れがある場所」ですね。具体的には飲食店のキッチンカウンターやテーブル、テーブル付近の壁・フローリングなど。
木材は基本的に水に弱い傾向にあるので「木材を使いたいけど、水分による腐敗が心配」というシチュエーションも多くあると思います。
しかしチークであれば油分を多く含んでいるため、水分を弾きやすいのはもちろん、もし汚れが付着した場合も、拭き取りで落としやすいです。
ただし不燃突板の場合は、水回りを避けていただくことを推奨しています。
2. 「耐久性+高級感」が必要な場所 (例:ショールームなど)
耐久性が高いことから、高級感重視のショールームのフローリング・壁材にも向いています。例えば上の写真(ショールーム)では壁材にチークが使われているわけですが、高級感を演出しているのはもちろん、変形のリスクも少ないです。
内装材は一度施工してしまったら交換が難しいものですから、特にショールームや商業施設で重宝されています。このように重厚感を演出できる上に、耐久性までかね備えていることこそ、チークが高級材とされる理由なのです。
デザイン事例(当社製品による導入事例)
1. トップランク 船橋
2. 株式会社土屋鞄製造所 神田オフィス
3. 三井物産都市開発 株式会社
使用木材:チーク
内装を一層おしゃれに仕上げる!チーク材選びのポイント
最後に、チーク材を採用する際に決めておきたい・見ておきたいポイントをご紹介します!
ポイント1:「無垢材 or 突板」を選ぶ!
内装材には、丸太から切り出した厚みのある「無垢材(むくざい)」と、薄くスライスしたチークを合板などの基材に貼り付けた「突板(つきいた)」があります。
- 無垢材: 本物ならではの質感、重厚感、深い経年変化が魅力。価格は高いが、傷がついても削って補修できるためまさに一生もの。
- 突板: コストを抑えつつチークの雰囲気を楽しめる。反りや狂いが少なく品質が安定しているため、広い面積に使いやすい。
どちらが良い悪いではなく、予算や用途、そして「何を重視するか」によって最適な選択は変わります。両者の違いを理解し、内装デザインに合う方を選びましょう!
ポイント2:木目や色合いを確認する!
天然素材であるチーク材は、一枚一枚、木目や色合いの表情が異なります。
これが天然木の魅力でもありますが、完成後のイメージが「思っていたのと違う」とならないよう、事前に確認することが大切です。同じチークでも産地や個体によって色の濃淡に差がありますし、木目には、山形の模様が豊かな「板目(いため)」と、まっすぐな縞模様で落ち着いた印象の「柾目(まさめ)」があります。
可能であれば、購入前に実物のサンプルを取り寄せたり、ショールームで現物を確認したりすることをおすすめします。
当社の「サンプル請求」をぜひお試しください!
木材にはそれぞれ顔があり個性があります。もちろんそれを写真やシミュレーターで見ていただくのも良いのですが、私たちはその「顔」や「個性」を実際に見て、触って、確かめてから内装に採用するかを検討いただきたいと思っています。 もちろん本記事で紹介したチークに限らずさまざまな樹種のサンプルをご用意していますので、まずは当社のサンプル請求にて「木材の良さ」を確かめていただければ幸いです。
※おひとり様5点までとさせていただきます。
チークのメンテナンス(お手入れ)は大変ですか?
いいえ、それほど大変ではありません。
日常のお手入れは乾いた布でホコリを拭き取る程度で十分です。他の無垢材のように「水拭きは厳禁」ということもなく“固く絞った布”であれば水拭きも可能です。むしろ、扱いやすい木材です。
内装制限がある中で“天然木材”を使うには
そもそも商業施設などの多くの人が利用する公共空間や、店舗の共用部では、建築基準法によって内装制限が設けられている場所があるため、原則として可燃性の材料である木材をそのまま壁・天井に使用することができません。
これは火災時の延焼を防ぎ、避難経路を確保するためです。
しかしそういった内装であっても「木の温もりを取り入れたい」「ナチュラルなデザインを実現したい」という設計士・デザイナーのこだわりは多いと思います。実際に当社でもこれまでたくさんの声を聞いてきました。
なぜ木材が使えない場所があるのか
建築基準法では、建物の用途や規模、高さなどによって、内装に使用できる材料に制限を設けています。特に、火災発生時に避難に時間がかかる可能性のある空間や、火災が拡大しやすい構造の建物では、壁や天井の仕上げ材に「不燃材料」「準不燃材料」「難燃材料」といった、燃えにくい、あるいは燃えても煙や有毒ガスを発生しにくい材料を使用することが義務付けられています(内装制限)。
残念ながら天然木材のままでは、上記の認定材料には該当しないため、内装制限のかかる空間では使用範囲が限られてしまうのです。
当社の不燃突板は、「天然木の風合い」そのままに“不燃”を実現!
当社の不燃突板(ナチュラルボード)は、火山性ガラス質複層板に天然木突板を練付した「内装用不燃ボード」です。およそ0.2mmの天然木を貼り合わせることで、木材本来の「美しさ・肌触り」をそのまま残した不燃内装材を実現しました。
物販店・飲食店の壁をはじめ、キッチン天井やカウンターなどの“内装制限がある箇所”にも採用いただけます。
雰囲気に合ったおしゃれな内装木材はもちろん、木材ならではのデメリットも最大限に抑えた内装材をご提供していますので、ぜひ一度ご相談ください!
当社の手がける「不燃突板」については、こちらのページをご覧ください!
関連ページ:『当社の不燃突板について|株式会社オネスト・アンド・パートナーズ』
この記事を書いた人

Kurumi
2021年入社 / 埼玉県出身 / “他社で断られたデザインを叶える”をモットーに「デザイン×コスト」を踏まえた最適な提案を得意とする。個人で動画制作を行うなどクリエイターとしての一面も。