「硬い木材」厳選紹介!プロが教える見極め方とおすすめの使い方を徹底解説!

飲食店やオフィスなどの内装で「丈夫なフローリングにしたい」「高級感のあるカウンターが欲しい」と考えたとき、多くの方が「硬い木材」という選択肢にたどり着くのではないでしょうか。
この記事では、木材の硬さを測る「気乾比重」の知識から、プロが厳選した代表的な樹種の特徴、そして「内装制限」という専門家ならではの壁を乗り越える方法までご紹介します!
- 木材の「硬さ」の見極め方は?
- 広葉樹と針葉樹はどっちが硬い?
- 硬い木材の代表的な樹種!
- 実際の内装デザイン事例!
この記事を書いた人

Kurumi
2021年入社 / 埼玉県出身 / “他社で断られたデザインを叶える”をモットーに「デザイン×コスト」を踏まえた最適な提案を得意とする。個人で動画制作を行うなどクリエイターとしての一面も。
木材の「硬さ」を決める気乾比重とは?
木材の「硬い」「柔らかい」を語る上で、避けては通れないのが「気乾比重(きかんひじゅう)」という指標です。
少し専門的に聞こえるかもしれませんが、簡単に言えば気乾比重は「木材の密度」を示す数値のことです。 専門的には、日本の環境に馴染んだ含水率15%程度の状態の木材と、同じ体積の水の重さを比較した値を指します。
そしてもっとも重要なポイントは、気乾比重の数値が大きいほど「中身がぎゅっと詰まっている=重く硬い木材」であるということ。逆に数値が小さいほど、軽く、柔らかい木材となります。基本的には「0.6」を基準に、それ以上は高比重材、それ以下は低比重材と分類されます。
たとえば、日本の代表的な木材であるスギの気乾比重は約0.38ですが、非常に硬いことで知られるケヤキは約0.69。ケヤキはスギの倍近く中身が詰まっている、とイメージすると分かりやすいでしょう。
気乾比重については以下記事で詳しく解説していますのでぜひ参考にしてください。

木材強度・硬さは「気乾比重」で分かる!内装材の選定ポイントも踏まえて解説!
気乾比重とは 気乾比重(きかんひじゅう)とは、木材の重さを表す指標の一つで、気乾状態(きかんじょうたい)の無垢材と、同じ体積の水の重さと比較して求める値です。 具体的には、1立方センチメートル(㎤)の水の重さを1グラムとしたとき、乾燥した木材1㎤の重さが何グラムかを比率で表します。 気
「広葉樹は硬く、針葉樹は柔らかい」は本当?
木材は、大きく「針葉樹」と「広葉樹」に分けられますが、一般的に硬い木材の多くは広葉樹です。 英語では広葉樹を「Hardwood」、針葉樹を「Softwood」と呼ぶことからも、その傾向がうかがえます。
この違いは木の成長のスピードと細胞の構造にあります。
- 広葉樹: 一般的に成長がゆっくりで、時間をかけて育ちます。そのため、年輪が密になり、細胞がぎゅっと詰まった、重く硬い材質になります。
- 針葉樹: 比較的成長が早く、まっすぐに育ちます。細胞の密度は広葉樹に比べて低く、空気を含む量が多いため、軽く柔らかい材質になります。
もちろん例外はありますが、「硬い木材を探すなら、まずは広葉樹から」と覚えておくと良いでしょう。

広葉樹・針葉樹の違いは?内装材としてオススメの樹種まで詳しくご紹介!
木材について「針葉樹」と「広葉樹」という違いを耳にしたことはないでしょうか? 「聞いたことはあるけど、何が違うのかがわからない」「よく目にするあの木はどっちに分類されるの?」など疑問に思う方も多いと思います。 実は針葉樹・広葉樹が違うと「木材としての性質(肌触りや耐久性)」も大きく変わってくるん
硬い木材・柔らかい木材の違い
木材は、ただ硬ければ良いというものではありません。 かたい木、やわらかい木、それぞれに素晴らしい長所と、知っておくべき短所があります。両者の特性を正しく理解し、あなたの目的や価値観に合った木材を選ぶことが、後悔しないための第一歩です。
硬い木材のメリットとデメリット
気乾比重の大きい「かたい木材」は、その密度の高さからくる物理的な強さが最大の特徴です。
メリット 傷に強く、耐久性が高い
硬い木材の最大のメリットは、なんといっても傷や凹みに強いこと。 多くの人が歩き、椅子を引いたり、物を落としたりするフローリングや、食器やカトラリーが頻繁に触れるテーブル天板などには、この耐摩耗性が非常に重要になります。
また、表面が擦り減りにくいため、長期間にわたって美しい状態を保つことができます。
デメリット 重くて加工が難しい
一方で、硬い木材にはデメリットもあります。 まず、密度が高い分、非常に重いこと。大きな一枚板のテーブルや、無垢材のフローリングなどは、搬入や施工に相応の労力とコストがかかります。
また、その硬さゆえに加工が難しい点も挙げられます。 繊細なデザインを施すには、専門的な道具と熟練の技術が不可欠です。 希少性や成長の遅さの分、価格も高価になる傾向があります。
”柔らかい”木材の特性は?
そしてスギやヒノキを代表する「やわらかい木材」には、「軽量で加工がしやすい」「断熱性が高く冬場でも底冷えしない」という硬い木材にはない良さを持ち合わせています。
ただし、傷や凹みがつきやすく、あっという間に傷だらけになってしまうことも珍しくないので注意が必要です。
プロがおすすめする代表的な”硬い木材”厳選8種!
ここからは数ある木材の中から「これは間違いない」と自信を持っておすすめする硬い木材を厳選してご紹介します。
ナラ(オーク)
まずは王道「ナラ」です。 硬く、耐久性に優れ、美しい木目を持つことから、古くから高級家具やフローリング、さらにはウイスキーの樽に至るまで、世界中で愛されてきました。
時折現れる「虎斑(とらふ)」と呼ばれる虎の縞模様のような木目が、空間に風格と深みを与えてくれます。 非常に硬く傷が付きにくいので、人の往来が激しい床や飲食店のカウンター、オフィスのテーブルにも最適です。
迷ったらまず候補に挙げるべき木材といえます!
※気乾比重の目安: 0.67〜0.76

ナラ材の特徴は?オークとの違いや経年変化、内装材の活用アイデアをご紹介!
ナラ材(オーク)は、ウイスキー樽にも選ばれるほどの耐久性と、虎斑(とらふ)と呼ばれる唯一無二の美しい紋様で、家具・床・壁面を「時を刻む主役」に変えてくれます。 しかし 「堅くて重い」や「価格が高い」といった断片的なイメージだけで候補から外していませんか? 本記事では"ナラの魅力”と“注意点”を木
ウォールナット
次は「世界三大銘木」に数えられるウォールナットです。 特に北米産のブラックウォールナットは、その名の通り深みのあるチョコレートブラウンの色合いが魅力で、モダンで高級感あふれる空間を演出します。
硬さも十分で衝撃に強くデザイナーからの人気も絶大です。 年月を経るごとに、黒さが少し和らいでまろやかな色調に変化していくのも特徴で、使い込むほどに愛着が増していきます。シックなデザイン空間がお好みの方におすすめです。
※気乾比重の目安: 約0.64
「ウォールナット」ってどんな木材?
ウォールナットは、クルミ科クルミ属の落葉広葉樹で、最高品質のウォールナットは「アメリカンブラックウォールナット」とも呼ばれています。主にアメリカ東部から中部の標高の高い山々に自生しており、厳しい寒さの中でゆっくりと成長していきます。そのため、硬く粘りのある材質を
内装の定番!ウォールナットの特徴やメリット・デメリットとは?
ケヤキ
お次は日本の広葉樹を代表する銘木「ケヤキ」です。 はっきりとした力強い木目は唯一無二の存在感を放ち、特に複雑な模様を描く「玉杢(たまもく)」が現れたものは、非常に高値で取引されます。
その圧倒的な強度から、古くは城の門や寺社の柱に使われてきました。 非常に硬い樹種に分類されるため、加工には高度な技術が必要ですが、一枚板のテーブルやカウンターとして使えば空間のシンボルになります。一生モノの価値を持つ、日本が誇る木材です。
※気乾比重の目安: 0.66〜0.69
欅(ケヤキ)はどんな木材?
欅(けやき)はニレ科の広葉樹で落葉高木に分類される木です。
材質は非常に硬く、強度と耐久性に優れているため、古くから高級建築材として重宝されてきました。たとえば、神社仏閣の柱や梁、太鼓の胴、高級家具、工芸品などなど、古くから日本の代表木材として使われてきました。
仏閣の柱や船舶材にも⁉︎欅(ケヤキ)材の特徴やメリット・デメリットを解説!
メープル
そして「メープル」ですが衝撃の強さで知られており、ボーリングのレーンやピン、野球のバットにも使われています。 乳白色から淡いクリーム色の明るい色調が特徴で、清潔感あふれるクリーンな空間づくりが可能。
すべすべとした滑らかな肌触りも魅力の一つ。その明るい色合いは光をよく反射するため、部屋全体を広く、明るく見せる効果も期待できます。北欧スタイルにもぴったりの木材です。
※気乾比重の目安: 約0.70
チーク
ウォールナットと同じく世界三大銘木の一つとして有名な「チーク」。 最大の特徴は、内部の豊富な油分によって水に強く、腐りにくいことです。その優れた耐水性と寸法安定性から、豪華客船の甲板にも使用されてきました。
黄金色がかった美しい褐色は、まさに高級材の風格で、年月を重ねていくとさらに深みのある美しい飴色へと変化していきます。 デザイン空間をキッチンカウンターなどの水回りでも貫きたい方におすすめです。
※気乾比重の目安: 0.67〜0.70

チーク材の特徴は?店舗・オフィスのレイアウトデザインまで解説!
木材の中でも特に「高級感」と「耐久性」が高いとして知られるチーク材。古くから家具や船舶、建築材として愛用され、その美しい木目と深い色合いが多くの人々を魅了しています。 そこで本記事ではそんなチーク材の特徴や魅力、内装材としての活用方法まで詳しくご紹介していきます! この記事を読めば、こんな悩
クリ(栗)
日本の民家で、縁側や土台として古くから使われてきたのが、このクリです。 硬さの点ではナラやケヤキに一歩譲りますが、タンニンという成分を多く含むため、非常に腐りにくく、耐水性・耐久性に優れています。その強さから、鉄道の枕木にも利用されてきました。
はっきりとした力強い木目と、素朴で温かみのある風合いが魅力。節が多いこともありますが、それもまた個性的な味わいとなります。経年で黄褐色へと深みを増していく様は、日本の風景によく馴染みます。
※気乾比重の目安: 約0.60
ホワイトアッシュ(タモ)
最後はナラによく似た、はっきりとした美しい木目を持つことから、家具や内装材として人気の高いホワイトアッシュです。日本では同じ仲間である「タモ」がよく知られています。 硬さと同時に、衝撃を吸収する「しなやかさ(弾力性)」を併せ持っているのが最大の特徴で、野球のバットやテニスのラケットなど、スポーツの道具にも利用されてきました。
加工性にも優れ、はっきりとした木目が空間に表情を与えてくれるため、モダンなデザインの家具や、フローリング、階段材など、幅広い用途で活躍します。
※気乾比重の目安: 約0.65

【設計士必見!】タモ材の特徴・経年変化や「不燃タモ材」の強みまで徹底解説!
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【用途別】目的に合わせた樹種の選び方
代表的な硬い木材の個性を理解したところで、次はその知識をどう活かすかが重要です。 ここでは、「フローリング」「テーブル天板」「家具・造作」におすすめの木材をご紹介します。
フローリング(床材)にはどの木材がおすすめ?
多くの人が歩き、家具を置き、時には物を落とすこともあるフローリングには、何よりも表面の硬さ、すなわち「耐摩耗性」が求められます。
特におすすめなのが、ナラ(オーク)やメープルです。 これらの木材は非常に硬く、傷や凹みに強いため、土足で利用される店舗の床にも採用されています。また、ウォールナットの床は、空間に落ち着きと重厚感をもたらします。
基本的には「フローリングには広葉樹」と覚えておけば大きな失敗はありません。
テーブル・カウンター天板にはどの木材がおすすめ?
空間の顔となり、もっとも触れる機会が多いテーブルやカウンターの天板。 ここには、傷や衝撃への強さに加え、時には水濡れにも耐える「耐水性」そして何より「意匠性」が求められます。
水回りであるキッチンカウンターにも採用されるほど耐水性に優れるのがチークです。 油分を豊富に含むため水を弾きやすく、シミになりにくい特徴があります。
また、高級感のあるウォールナットや、どんなインテリアにも馴染むナラ(オーク)も定番の人気を誇ります。 和の空間であれば、ケヤキの一枚板カウンターなども圧倒的な存在感を放ちます。
家具・造作にはどの木材がおすすめ?
椅子や棚、ドアといった家具や造作材には、長年の使用に耐える「強度」と、デザインを形にするための「加工性」とのバランスが重要になります。
丈夫な椅子やキャビネットには、やはりナラ(オーク)やウォールナットといった硬木が最適ですが、椅子のような複雑な形状と強度が求められる家具には、ヨーロッパで古くから使われてきたブナ(ビーチ)が適しています。ブナは硬いだけでなく、蒸して曲げる「曲木」加工にも強く、数々のインテリアに使われてきました。
フローリングや造作だけでなく、壁面や天井にも木材を使って空間全体にぬくもりを出したい!
そんな要望も多く聞かれます。
しかし、商業施設や公共施設では、建築基準法によって木材の仕様に制限があるケースもある為、そうした制限の中でも木材を取り入れる方法をご紹介します。
内装制限がある中で“天然木材”を使うには
そもそも商業施設などの多くの人が利用する公共空間や、店舗の共用部では、建築基準法によって内装制限が設けられている場所では、原則として可燃性の材料である木材をそのまま壁・天井に使用することができません。
これは火災時の延焼を防ぎ、避難経路を確保するためです。
しかしそういった内装であっても「木の温もりを取り入れたい」「ナチュラルなデザインを実現したい」という設計士・デザイナーのこだわりは多いと思います。実際に当社でもこれまでたくさんの声を聞いてきました。
なぜ木材が使えない場所があるのか
建築基準法では、建物の用途や規模、高さなどによって、内装に使用できる材料に制限を設けています。
特に、火災発生時に避難に時間がかかる可能性のある空間や、火災が拡大しやすい構造の建物では、壁や天井の仕上げ材に「不燃材料」「準不燃材料」「難燃材料」といった、燃えにくい、あるいは燃えても煙や有毒ガスを発生しにくい材料を使用することが義務付けられています(内装制限)。
残念ながら天然木材のままでは、上記の認定材料には該当しないため、内装制限のかかる空間では使用範囲が限られてしまうのです。
当社の不燃突板は、「天然木の風合い」そのままに“不燃”を実現!
オネスト・アンド・パートナーズが販売する不燃突板。上から「表面保護塗装」「天然木突板(約0.2mm)」「火山性ガラス質複層板」「特殊紙」の4層構造で形成される。天然木突板によって天然木のオシャレさを保ったまま「不燃材」基準に合格。
当社の不燃突板(ナチュラルボード)は、火山性ガラス質複層板に天然木突板を練付した「内装用不燃ボード」です。およそ0.2mmの天然木を貼り合わせることで、木材本来の「美しさ・肌触り」をそのまま残した不燃内装材を実現しました。
物販店・飲食店の壁をはじめ、キッチン天井やカウンターなどの“内装制限がある箇所”にも採用いただけます。
雰囲気に合ったおしゃれな内装木材はもちろん、木材ならではのデメリットも最大限に抑えた内装材をご提供していますので、ぜひ一度ご相談ください!
当社の手がける「不燃突板」については、こちらのページをご覧ください。
関連ページ:『当社の不燃突板について|株式会社オネスト・アンド・パートナーズ』
この記事を書いた人

Kurumi
2021年入社 / 埼玉県出身 / “他社で断られたデザインを叶える”をモットーに「デザイン×コスト」を踏まえた最適な提案を得意とする。個人で動画制作を行うなどクリエイターとしての一面も。