この記事を書いた人

Kurumi
2021年入社 / 埼玉県出身 / “他社で断られたデザインを叶える”をモットーに「デザイン×コスト」を踏まえた最適な提案を得意とする。個人で動画制作を行うなどクリエイターとしての一面も。
仏閣の柱や船舶材にも⁉︎欅(ケヤキ)材の特徴やメリット・デメリットを解説!
欅(ケヤキ)はどんな木材?
欅(けやき)はニレ科の広葉樹で落葉高木に分類される木です。
材質は非常に硬く、強度と耐久性に優れているため、古くから高級建築材として重宝されてきました。たとえば、神社仏閣の柱や梁、太鼓の胴、高級家具、工芸品などなど、古くから日本の代表木材として使われてきました。
特に大黒柱として使用されることが多く、「欅造り」の家は格式高いとされてきました。また、お盆やお椀などの日用品にも加工され、使い込むほどに味わいが増すのも魅力ですね。
本記事ではそんな欅を「内装材としておしゃれに使うにはどうすればいいのか?」を、設計士・デザイナー目線で解説していこうと思います!
欅の特徴は「美しさ」と「硬さ」
美しさの秘密:独特な年輪(玉杢)があるから
欅最大の特徴は「美しい木目」です。
年輪がはっきりと現れ、光沢のある褐色の木肌は、磨くほどに深い艶を増します。この独特の木目模様は「玉杢(たまもく)」や「如鱗杢(じょりんもく)」と呼ばれ、装飾的価値も高く評価されています。
▲ケヤキ |
▲ナラ |
木目の美しさで有名な「ナラ」とも比較してみました。
ナラも独特な虎斑(とらふ)模様が綺麗なのですが、欅はビシッと揃った年輪が浮き出ているのが分かるかと思います。
硬さの秘密:気乾比重が高いから(比重0.66以上)
欅の硬さの秘密は、木材そのものの強度(気乾比重)が高いことにあります。数値にすると「約0.66~0.69g/cm³」なのですが、これは杉の「約2倍※」にあたります。
※スギの気乾比重:0.38程度
噛み砕いて説明すると、木の繊維がぎゅっと詰まることで物理的な強度や耐久性が向上しているイメージです。気乾比重についてはこちらの記事で詳しく解説しています。

木材強度・硬さは「気乾比重」で分かる!内装材の選定ポイントも踏まえて解説!
気乾比重とは 気乾比重(きかんひじゅう)とは、木材の重さを表す指標の一つで、気乾状態(きかんじょうたい)の無垢材と、同じ体積の水の重さと比較して求める値です。 具体的には、1立方センチメートル(㎤)の水の重さを1グラムとしたとき、乾燥した木材1㎤の重さが何グラムかを比率で表します。 気
また比重だけでなく、年輪の境界には大きな道管が環状に並ぶ独特の構造があり、この構造も欅の剛性を支えています。
もちろんこの頑丈さは、反面「加工の難しさ」にもつながっています。生半可な力での加工では、刃物が跳ね返されることもあるくらい強度が高いです。
しかし一度きちんと加工し、乾燥させてしまった欅は、狂いが少なく、水や湿気にも強い。そのため古くから一般住宅はもちろん、寺社建築の太い柱や梁(はり)など、重要な構造材として重用されてきました。
欅の経年変化
欅は経年変化によって、明るい白・黄色 から、深みのある朱色や橙色へと変化します。つまり「明→暗」という変化を辿る樹種です。
経年変化の要因①:紫外線
日光にさらされることで木材内部の成分が酸化し、色が濃くなります。日当たりの良い場所では変化が早く、明るい部分はやや濃く、もともと濃い部分はやや明るくなり、全体として色差がなじんでいきます。
経年変化の要因②:色素成分の酸化
欅は心材化※する過程で、防虫・防腐に役立つ色素成分(タンニンなど)が蓄積され、これが経年とともに酸化・変質することで赤みや深みが増します。
この経年変化は、欅が持つ成分や外部環境との相互作用によって生じる自然現象であり、長く使うほどに唯一無二の風合いが楽しめます!
※木材の成長過程で、樹木の中心部に向かい心材に変化していく現象のこと。
下記記事では、より多くの木材の経年変化について紹介しています!

無垢材の「経年変化」について|内装木材でも強度・腐敗の心配はない?
木材の経年変化とは、木材が環境によって風化することで、見栄えや特徴が変化することです。 どんな木材でも経年変化は起こるものですから、とくに内装に木材を採用する場合は「経年変化が発生するワケ」や「変化の度合い」も知っておく必要があります。 そこで本記事では木材の経年変化について、 そもそも
欅の注意点|加工が難しく、高価になりやすい
先ほどから紹介しているように、欅は硬くて重い木材。その強靭さゆえに加工や施工が他の木材に比べて格段に難しいという特徴があります。そのため切断や削り、釘打ちなどの作業には、熟練した技術と専用の工具が必要になります。
特に内装材として細かい仕上げや複雑な加工が求められる場合、その硬さが大きな障壁となります。加工に時間がかかるだけでなく、作業コストも高くなりやすい点がデメリットです。
また成長が遅く、人工林も少ないため、流通量が限られていることも高価になる理由のひとつです。
欅で内装をおしゃれにレイアウトするコツ!
1. フローリング材なら「無塗装 or オイル塗装」
▲日本ケヤキ(無塗装) |
▲日本ケヤキ(オイルクリア塗装) |
「ヘリンボーン柄」でオシャレなフローリングに
▲ケヤキヘリンボーン(無塗装) |
▲ケヤキヘリンボーン(オイルクリア塗装) |
2. 壁面:アクセントウォールとして欅板を活用
▲ケヤキ(不燃突板)
壁の一部に欅の無垢板や羽目板を張ることで、空間に自然な温もりと高級感をプラスできます。
特にリビングやダイニングの壁に欅を使うと、木目の美しさが際立ち、部屋の印象が一気にグレードアップします。漆喰や白壁との組み合わせも相性が良く、和モダンやナチュラルな雰囲気を演出できます!

和モダン(ジャパンディ)内装に最適な木材・デザインレイアウトを解説!
和モダン(ジャパンディ)スタイルの内装デザインとは? 和モダンスタイルとは、昔ながらの日本らしい造りに現代様式に織り交ぜた内装デザインで、別名「ジャパンディスタイル」とも呼ばれています。 フローリングや椅子座といった現代様式はそのままに、手軽に和な「落ち着き・品格」を取り入れられるデザインとして
【よくある悩み】“耐火構造”の厳守で天然木が使えない…
内装をおしゃれにしたいのはもちろんですが、オフィスや会議室などの公共スペースに木材を使用する際、特に気をつけたいのが火災のリスク。実際に『木材を使って自然な風合いにしたいけど、防火性が…』と、導入を心配される方も多くいらっしゃいます。
当社では、公共スペースにおける火事のリスクを最大限に抑えた「不燃突板(不燃木材※)」を多く取り揃えています。
※不燃木材:難燃木材、準不燃木材以上の防火性を発揮する木材のこと
雰囲気に合ったおしゃれな内装木材はもちろん、木材ならではのデメリットも最大限に抑えた内装材をご提供していますので、ぜひ一度ご相談ください!
当社の手がける「不燃突板」については、こちらのページをご覧ください。
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