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Kurumi

2021年入社 / 埼玉県出身 / “他社で断られたデザインを叶える”をモットーに「デザイン×コスト」を踏まえた最適な提案を得意とする。個人で動画制作を行うなどクリエイターとしての一面も。

和洋折衷材(内装木材)のテッパン!「パイン材」の魅力を徹底解説!

内装デザインを手がける設計士やインテリアデザイナーの皆様であれば、レイアウトはもちろん、そもそもの「木材選び」に悩むことも多いと思います。

特に木の温もりあふれる空間づくりには、“木材の特性”を理解しておかなければいけませんよね。

中でもパイン材は、明るい風合いをデザインできることからよく選ばれますが、

  • キズや収縮が起こりやすいのでは…?
  • 注意点は施主様にどう説明しよう…

というご相談を当社でも多くいただきます。

そこで本記事では、パイン材をご提案いただく際に伝えるパインの特性やメリット、またデメリットへの「具体的な対策」までを詳しく解説していきます。

もちろんパイン材が映えるデザインアイデアや他の木材との比較、さらには内装制限のある空間での活用性にも触れながら紹介していきますので、ぜひご覧ください!

この記事を読めば、こんな悩みが解決します!

  • パインってどんな木材?

  • パイン材のメリット・デメリットは?(設計士が知っておくべきポイントは?)

  • パイン材を選ぶ“決め手”は?

  • 【写真付き】パイン材を使った内装アイディア
  • 内装制限があってもパインは使える?

基礎知識:「パイン材」がどんな木材か

まずは内装材としてパイン材を検討いただくにあたり、設計士・デザイナーとして押さえておきたい基礎情報を解説します。

▲ベイマツ(不燃突板)

パイン材とは、マツ科の針葉樹から採取される木材全般を指し、日本語では一般的に「松(マツ)」と呼ばれています。

世界中に50種以上存在するマツのうち、建築や家具に主に使われるのはホワイトパインやイエローパイン、そしてレッドパイン(欧州アカマツ)など3種類くらいに限られます。日本で流通しているパイン材のほとんどは、北米や欧州からの輸入材であり、実は国産のアカマツなどが一般的にパイン材として扱われることは少ないです。

またパイン材に共通するのは、明るく淡い色合いの木肌と、大小さまざまな節が作り出す“独特の木目”です。このナチュラルな風合いは、素朴で温かみのある空間を演出するため、北欧テイストなどのナチュラルな内装デザインに適しています。

北欧テイストの内装デザインアイデアはこちらで紹介中です!

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注意点:生育環境によって性質が異なる!

同じパイン材でも育った地域の気候によって性質が異なります。温暖な地域で早く成長したパインは、年輪幅が広く柔らかく比較的安価ですが、寒冷地でゆっくり成長した材は木目が詰まって強度が高くなる傾向があり、高級家具に使われることもあります。
節の量によって価格が変動する傾向があって、節が多い材は「節あり材」と呼ばれ安価で流通量も多く、節がほとんどない「無節材」(クリアパインなど)は希少価値が高く高価です。
プロジェクトの用途や予算に応じて、種類やグレードを見極めることが、設計者としての提案ポイントになることを覚えておきましょう。

 

パイン材のメリット

①:軟木なので、柔らかく加工しやすい

パイン材は針葉樹の中でも比較的柔らかいです。気乾比重はおよそ「0.39〜0.46」と、オーク材の約半分ほど※1の密度しかありません。そのため軽量で加工しやすく、現場での取り扱い・デザインレイアウトが容易というメリットがあります。

また柔らかいからといって「強度がない」といわけではなく、かつて日本では梁(はり)や桁に使われた例があったり、北米ではツーバイフォー工法※2の構造材としても用いられるなど、構造材としての実績もあります。

気乾比重についてはこちらで詳しく解説しています。

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※1:オークの気乾比重:0.7程度

※2:木材の枠組みに構造用合板などを張り付けて6面体構造を形成し、建物を支える工法

②:内装が明るくなり、肌触りも ◎

▲当社製品の導入事例(Herman Miller showroom)

パインの特徴は「明るい色味」と「節のある木目」、そして柔らかくさらっとした「肌触り」が特徴です。

実際パイン無垢材は、床や壁、柱などいろいろな場所で使われていて、「柔軟性」と温かい「手触り」が評価されています。

色合いは切りたての頃は、写真のように白っぽいクリーム色から淡い黄色ですが、時間が経つと含まれる樹脂成分が酸化して、飴色や黄褐色に濃く変化していきます。つまり経年変化による色合いは「淡→濃」へと変化していきます。

実は経年変化にはパインとは逆の「濃→淡」となる樹種もあるのですが…、それはこちらの記事にまとめましたのであわせてご覧ください。

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③:採用しやすい価格

パイン材は成長が早く流通量も多いため、他の無垢材に比べて採用いただきやすい価格でご提供できます。

オークやウォールナットといった謂わゆる「高級木材」は、そもそも成長が遅く入手が難しいです。その点パインは、「同じ厚みの板」でも大幅にコストを抑えることができるため、予算を考慮しつつ自然素材を取り入れたいプロジェクトにおいて選択肢に入れていただきやすいわけです。

④:メンテナンス・修復がしやすい

パイン材は柔らかいので、傷つきやすい木材ではありますが、むしろ小さなヘコみ傷であれば、水を含ませて膨らませたり、サンドペーパーで軽く削れば簡単に補修ができます。

そもそも土足での歩行が多い店舗やオフィス空間のように摩耗が激しく、土足重歩行が想定される場所に使いたい場合は、フローリング専用パイン材(当社製品:ボルドーパイン)の採用を推奨します。

硬い木材は傷がつきにくいものの、一度ついてしまうと目立ちやすく補修が難しいもの…、場合があるのに比べ、パイン材は日々の暮らしでついた傷を「味」として楽しみながら、必要に応じて手軽に補修できるという側面を持っています。

パイン材の「デメリット・注意点」

①:傷が付きやすい

パイン材の注意点は、表面の柔らかさゆえの“傷つきやすさ”です。たとえば家具の引きずりや、物の落下による凹み傷がつきやすい傾向にあります。

 

▲ボルドーパイン(無垢フローリング)

そもそも土足での歩行が多い店舗やオフィス空間のように摩耗が激しく、土足重歩行が想定される場所に使いたい場合は、フローリング専用パイン材(当社製品:ボルドーパイン)の採用を推奨します。

②:収縮・膨張を起こしやすい

これは無垢材すべてに共通する特性ですが、パイン材も空気中の湿度変化に応じて水分の吸放出を行い、収縮や膨張を起こします。この伸縮によって、たとえ“適切な施工”が施されていたとしても、木材のつなぎ目がこすれて鳴ってしまうことがあるのです。

(フローリングは「実(さね)」が組み合わさってできていることから「さね鳴り」とも呼ばれます)

新築の建物で起こりがちな現象で、フローリングや施工に何か問題があるというわけではありません。時間経過とともに解消することが多いです。そのため施主の方には、床鳴りの可能性もゼロではないこと、加えていずれ解消されることを説明いただくことを推奨します。

無垢フローリングの床鳴りについては、こちらの記事でより詳しくまとめています。

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③:ヤニの発生(ごく稀に発生)

パイン材は他の多くの木材に比べて樹脂分(ヤニ、ピッチ)が多く含まれています。このヤニが夏場の高温時や直射日光が当たる箇所で、表面に滲み出してくることがごく稀にあります。

もしヤニが滲み出してしまった場合は、エタノールなどで拭き取った後、再度塗装でリタッチすることで元のデザインに戻すことができますが、設計士の方からも「環境によっては、ごく稀にヤニがでるかもしれない」とお伝えいただくことを推奨します。

スギ・ヒノキより「パイン材」が最適なシーンは?

当社では、他の樹種よりも「パイン材」が最適なシーンとしては、

  • 和ではなく「洋」の内装デザインにしたい
  • 肌触りやナチュラルさは残したい

上のような北欧テイストやミッドセンチュリースタイルでの採用を推奨しています。詳しい内装レイアウトについてはこちらをご覧ください。

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◯ 樹種とその特徴

以下にパイン材とよく比較される、スギ・ヒノキの特徴を踏まえて選定ポイントをまとめました。

項目 パイン材 スギ材 ヒノキ材 プロが選定で重視すべき点
デザイン性 ・明るい淡黄色
・節がはっきりある
・経年で飴色化
・洋デザイン向け
・赤~黄白色
・はっきりした木目
・経年で褐色化
・和風・ナチュラル向け
・淡黄色~淡紅色
・木目は緻密
・光沢感がある
・経年で飴色化
・和風・ナチュラル向け

和風・伝統的な空間にはスギやヒノキ

洋風・カジュアルな空間にはパインが適しやすい

節の有無による印象の違いも大きい

価格帯 安価
(グレードによる)
安価 やや高価
(良質材はさらに高価)

量産品の杉は安価だが、品質やデザイン性にばらつきがある場合も

耐久性
機能性
・調湿性が高い
・肌触りが良い
・調湿性が高い
・芯材は耐久性あり
・調湿性が高い
・耐水性が高い
・防虫・防カビ効果(ヒノキチオール)

水回りにはヒノキを推奨

フローリングや壁材などの“素肌が触れる場所”はパイン材を推奨。

当社製品の導入事例

Herman Miller showroom

内装制限がある中で“天然木材”を使うには

そもそも商業施設などの多くの人が利用する公共空間や、店舗の共用部では、建築基準法によって内装制限が設けられている場所では、原則として可燃性の材料である木材をそのまま壁・天井に使用することができません。これは火災時の延焼を防ぎ、避難経路を確保するためです。
しかしそういった内装であっても「木の温もりを取り入れたい」「ナチュラルなデザインを実現したい」という設計士・デザイナーのこだわりは多いと思います。実際に当社でもこれまでたくさんの声を聞いてきました。
 

なぜ木材が使えない場所があるのか

建築基準法では、建物の用途や規模、高さなどによって、内装に使用できる材料に制限を設けています。特に、火災発生時に避難に時間がかかる可能性のある空間や、火災が拡大しやすい構造の建物では、壁や天井の仕上げ材に「不燃材料」「準不燃材料」「難燃材料」といった、燃えにくい、あるいは燃えても煙や有毒ガスを発生しにくい材料を使用することが義務付けられています(内装制限)。

残念ながら天然木材のままでは、上記の認定材料には該当しないため、内装制限のかかる空間では使用範囲が限られてしまうのです。

当社の不燃突板は、
「天然木の風合い」そのままに“不燃”を実現!

当社の不燃突板(ナチュラルボード)は、火山性ガラス質複層板に天然木突板を練付した「内装用不燃ボード」です。およそ0.2mmの天然木を貼り合わせることで、木材本来の「美しさ・肌触り」をそのまま残した不燃内装材を実現しました。物販店・飲食店の壁をはじめ、キッチン天井やカウンターなどの“内装制限がある箇所”にも採用いただけます。

雰囲気に合ったおしゃれな内装木材はもちろん、木材ならではのデメリットも最大限に抑えた内装材をご提供していますので、ぜひ一度ご相談ください!

当社の手がける「不燃突板」については、こちのページをご覧ください。
この記事を書いた人
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2021年入社 / 埼玉県出身 / “他社で断られたデザインを叶える”をモットーに「デザイン×コスト」を踏まえた最適な提案を得意とする。個人で動画制作を行うなどクリエイターとしての一面も。

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内装用木材に関してのご相談は、オネスト・アンド・パートナーズへ。