投稿日:2026.05.26 最終更新日:2026.05.26
ナフサ不足って何?木材と関係あるってホント?塗料やシンナーの使われ方を解説!
「ナフサ不足」という言葉、最近ニュースや業界紙でご覧になった方も多いのではないでしょうか。
木材を使用する事業をされている方であれば、「私たちには関係のない話では…?」と感じられるかもしれません。
ところが、実は私たちのような「木材業界」であってもナフサ製品をよく活用しており、切っても切り離せない存在となっています。
そこで本記事では「そもそもナフサとは何か」「どこに使われているのか」「木材とナフサってどんな関係があるの?」といった疑問を詳しく解説していきます。
この記事でわかること
- そもそも「ナフサ」って何のこと?
- なぜ今「ナフサ不足」が起きているの?
- 私たちの生活でどのように役立っているの?
- 木材業界でナフサが必要と言われているワケ
この記事を書いた人
Kurumi
2021年入社 / 埼玉県出身 / “他社で断られたデザインを叶える”をモットーに「デザイン×コスト」を踏まえた最適な提案を得意とする。個人で動画制作を行うなどクリエイターとしての一面も。
そもそも「ナフサ」とは?

私たちが日常的に使うプラスチック製品や塗料の多くは「原油」を加工して作られています。今話題の「ナフサ」も、その原油から取り出される成分の一つです。
ただし掘り出したばかりの原油はそのままでは製品として使えません。精製プラントで加熱し、成分を温度差によって分けていきます。この工程を「蒸留」といい、沸点の低いものから順に、LPガス・ガソリン・ナフサ・灯油・軽油・重油が取り出されます。
ちなみにナフサの沸点は『約30〜180℃』で、ガソリンとほぼ同じ温度帯で「粗製ガソリン」という別名があるほど性質が近く常温で蒸発しやすい透明の液体です。
このように基本的な性質はガソリンと似ているのですが、ガソリンが「燃やして使う燃料(エネルギー源)」であるのに対し、ナフサは「化学製品の原料にする素材」として使われます。ここが大きな違いです。
ガソリンは「動かすため」、ナフサは「作るため」に使われているイメージですね!
2022年には日本でも約3,500万キロリットルものナフサが消費されており、私たちの生活でも欠かせない物質なのです。
今話題の「ナフサ不足」はなぜ起きた?
ナフサの概要がわかったところで、なぜ今これほど話題になっているのかも詳しく見ていきましょう。
結論から言うと『中東情勢の悪化』がその背景にあるのですが、2026年に入ってナフサの供給が突然不安定になりました。
ナフサ不足の背景:中東情勢による「ホルムズ海峡の制限」
具体的な世界情勢の経緯は省きますが、2026年に入り中東情勢の緊迫化を背景に、ホルムズ海峡周辺で物流リスクへの懸念が高まりました。
ホルムズ海峡とは、ペルシャ湾と外洋を結ぶ重要な海上ルートです。最も狭い場所では、33㎞ほどしかなく、多くのタンカーが行き交う要所として知られています。
日本が輸入するナフサの多くは、このホルムズ海峡を経由しているため、ここが事実上封鎖されてしまうと、日本中で作られているナフサ由来の製品に大きく影響してしまうのです。
ナフサが使われている日常素材って?
実は私たちの暮らしの中にナフサ製品は非常にたくさん存在しており、今や切っても切り離せない材料ともいえます。
ナフサは化学工場(ナフサクラッカー)で加工され、大きく2つのルートを経て製品になります。それぞれ詳しく見ていきましょう。
①プラスチック原料:日用品から建材まで広く使われている

800℃以上の高温炉でナフサを分解すると「エチレン」や「プロピレン」という気体ができます。これがプラスチック製品の原料になります。
「プラスチック」と聞くとペットボトルや食品容器が思い浮かびますが、実際の用途はもっと幅広いです。
衣類に使われるポリエステル繊維、自動車のバンパーや内装パーツ、家電製品の外装、医療現場で使われる点滴パックや注射器、建材や断熱材などなど…、これらはすべてナフサ由来のプラスチックを原料としています。
一般的に「プラスチック」とは認識されていない素材にも、ナフサが使われているケースが多く、暮らしの中でナフサに由来する素材に触れない日はほとんどないとも言われています。
②有機溶剤:塗料・シンナー全般の主成分になる

プラスチックとはまったく異なる用途ですが、ナフサをさらに精製・加工すると「有機溶剤」という液体が生まれます。
有機溶剤は「ものを溶かす性質を持つ液体」で、塗料・シンナー全般の主成分です。外壁用塗料・自動車用塗料・木材用塗料といった工業用途から、マニキュアのリムーバーや接着剤にいたるまで、幅広い製品に使われています。
「固まるプラスチックか、溶かす溶剤か」といったような違いがあると言えますね!
木材業界でもナフサが使われてるってホント?

記事冒頭でも少し触れましたが、実は「木材製品」にも良くナフサが使われているんです。
『天然素材なのに、どこにナフサが?』と思われる方もいらっしゃると思います。ここからは私たち木材の専門家が「木材とナフサの関係」についても解説していきます!
「着色・質感」を作る塗料に、ナフサ由来の溶剤が使われている!

フローリングや内装パネルの表面を見ると、ホームセンターなどでよく見かける角材よりも少し深みのある色合いだったり、手触りがなめらかだったりしますよね。これは「塗料」で着色・コーティングしているためです。
素足で歩いたときのなめらかな質感も、実はすべてナフサ由来の「仕上げ塗料」によるものです。
こうした内装木材の仕上げには“溶剤系塗料”が広く使われていますので、実は木材もナフサ製品と関連が深いといえます。
なお、内装木材の塗装の種類(オイル仕上げ・ウレタン塗装・UV塗装など)や選び方の詳細については、「“無塗装”は原則NG!内装木材の仕上げ塗装・デザイン塗装の役割を徹底解説」でまとめています。
加工機(塗装する機械)の洗浄液にもシンナーが使われる!
上で触れたようにフローリングや内装パネルに塗料を塗るには「ロールコーター」や「フローコーター」という専用の塗装機械を使います。

▲ロールコーターによる木材塗装(イメージ)
機械を通して木材表面に薄く塗装していくわけですが、当然ながらこの機械も“洗浄する”必要があります。
例えばたった今、木材を「茶色い塗料」で染めたとします。そして次の木材では「明るい肌色塗料」で染色する必要があるとしましょう。
当然ながら塗料は液体ですから、茶色い塗料が付着したままでは、塗料の色が混ざってしまいますよね。これを洗浄するために「シンナー」を使います。油性の塗料は水では溶けないので、シンナーでないと内部で塗料が固まって詰まってしまうのです。
この洗浄用シンナーも、ナフサ由来の有機溶剤が主成分です。
このように私たちのような天然木材を取り扱う会社でも、ナフサ製品を利用することが多くあるんです。
まとめ:ナフサ不足は身近な素材に大きな影響を与えていた
いかがでしたでしょうか?
本記事では『そもそもナフサとは何か?』から、意外とよくご質問をいただく『木材にもナフサって使われてるんですか!?』という疑問についてまで詳しく解説いたしました。
もちろんお手元のフローリングや内装材にどんな塗料や溶剤が使われているかは製品によって異なりますし『ナフサが関与している製品=すべてが値上がり/納入遅延が起こる』というわけではありません。
ナフサ由来の製品は「私たちの身近に非常に多く存在する」ということをご理解いただいた上で、私たちが取り扱う「木材製品のしくみ」についても、これを機にぜひ知っていただければ幸いです。
木材製品について気になる点があれば、ぜひお気軽にお問い合わせください。
この記事を書いた人
Kurumi
2021年入社 / 埼玉県出身 / “他社で断られたデザインを叶える”をモットーに「デザイン×コスト」を踏まえた最適な提案を得意とする。個人で動画制作を行うなどクリエイターとしての一面も。